冨士山アネット 「八」

冨士山アネットの「八」を観たのですが非常に良かったです。舞台構成といい、動きのおもしろさといい非の打ち所がなかったです。

舞台構成はステージを前後で囲む構成自体はダンスだと結構あるのですが、その構成をうまく使った映像の投射と、舞台の端にあるソファーを使った役者の出入りが面白かったです、他の作品もそうですが、冨士山アネットの役者の舞台への出入りは毎回面白いです。

あと、今までの公演と比べても格段に役者との距離が近くて、動きの迫力と、それでいてきちんと表情が演技しているというのがわかって良かった。これは客席との距離が遠いバレエの公演ではありえないですね。

動きに関しては特に役者同士のからみの動きがいろいろ意表を突かれて良かったです。二入がお互いを椅子にする動きの、椅子役と座る人の入れ替わりなど、ここからこんな動きに行けるんだとと感心することが多かった。この斬新さはダンスそのものが目的じゃないこともあるのかなと思います。

コンテンポラリダンスの公演ってあたりまえだけどダンス自体が目的になっていて、逆にそれが足かせとなっている公演も多いのかなと。テクニックをどこかで見せようとか、最後はみんなで踊らないと盛り上がらないとか、他にない動きにストイックになりすぎて面白味に欠けるとか。

冨士山アネットはあくまで元となるストーリーと具体的な台詞があって、それを動きにする事が目的だからこそダンス的な定番に縛られずにすむのかなと。

ストーリーについてはかなり想像力で補う必要があるので、ストーリー重視の人はなんじゃこりゃと思うかもしれないけど、演劇好きな人も、バレエ、ダンス好きな人も機会があれば一度観る価値は絶対あると思います。