バレエの歴史―フランス バレエ史

http://www.amazon.co.jp/dp/4054033172

昔から自分は歴史にはさほど興味なかったのだが、気がついたら文化史の本ばっかり読んでいた。どんなものでも興味を持ってある程度詳しくなるとその歴史からは逃れられないと感じる。

バレエもある程度観るとやはりバレエ史が気になってしまい、とりあえず読んだのが本書と三浦 雅士のバレエ入門だった。本としてはバレエ入門の方が読みやすいし、バレエ史を総合的に見ることができて、面白いことは正直否めない。最初にこっちを読んで正解だった。
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しかし、本書は本書でフランスに特化しているが故の面白さがある。特に歴史との関係は、ヨーロッパ全体になると大雑把にになりすぎる。そもそもフランス史という視点自体全くない自分にとっては、それ自体がかなり勉強になった。フランスバレエ史だけに当然オペラ座の話が後半はメインになるのだが、劇場運営を定点的に観測する視点も面白い。

バレエ・リュスの話は他でも読んでいたが、構成する一つの大きな要素はやはりフランス人の観客という事を感じた。どんなに革新的な舞台であっても。それが革新的であるということに気がつき、賛否両論を繰り広げる良き観客なくしては育たないのである。自分は表現者にはなれないけど、良き観客でありたいとは思う。

そして何よりオペラ座の古典の再演だけでなく、常に新しいバレエ作品を作るべきという姿勢は、海外の古典作品の再演こそがバレエという認識が強い日本から見るとうらやましい限りである。もちろんバレエをコンテンポラリダンスも含めて考えれば新しい試みは多いし、創作バレエの試みも全くないわけではないので応援していきたい。