新国立劇場バレエ団 バレエ・リュス ストラヴィンスキー イブニング

いや凄いもん観てしまった…

とにかく最後の「結婚」が圧巻です。振付がニジンスカ。ニジンスキーの妹として名前は知っていたものの、作品も観たことなく、なんとなく無難にハッピーに終わるんだろうと思ってたのですが、最初の出だしてもう既になんですかこれ状態。

「結婚」というタイトルにも関わらず、殺風景な灰色の背景に、女性は長い髪をかつらで隠し、異常に長い三つ編みを着けている。目のイメージが強烈な奇妙な踊りと、ストラヴィンスキーの音楽。そして何より祝いの席とは思えない悲しげなコーラス。

後でパンフを読むと、これはロシア農村の結婚における風習を忠実にアレンジしたものらしい。

自分の見識不足もおおいにあるのですが、バレエ・リュスにおけるニジンスキー以後の作品というと、現在見ることができるのはバランシンがほとんどのように思うんですよ。マシーンとか名前は知ってるけど作品見たことがない。

バランシンはそれはそれで一つの方向性なんですが、ニジンスキーとは全然違うので、ニジンスキーの革命はそこで一発屋として終わってしまったかのような感覚を持っていました。しかし、それを妹のニジンスカがしっかりと受け継ぎ、熟成させていることに深く感動しました。

フォーキンの火の鳥は時代的に後になる二作品と比べると地味になりますが、時代のパイオニアの面白さはあります。魔王が出てからの圧倒的な人数による群舞と、火の鳥が最後に踊るときの魔物のサークルの不気味さ。そして、最後の結婚式のストイックさが面白いです。

アポロは、正直自分はバランシンあまり好きじゃないので期待してなかったが、これは結構面白かったです。男性1に女性3という組み合わせが斬新で、形の面白さの追求がわかりやすかったのもあると思います。あと客演の男性ダンサーが良かった。これアポロがミューズ3人に対して背丈や体格で映えないと面白くないと思うんですよ。

いろんなことでそうですが、近代と現代の過渡期というのはやはり独特の模索する面白さというのがあって、バレエ、ダンスにおいてはバレエ・リュスがそれに当たるわけです。まあもちろん中途半端すぎていまいちなものもあると思いますが、いろいろ面白いものがあるなと思いました。