アナと雪の女王

超今さらながら観ました。面白かったですが、まあ色々ネタになるのもわかります。ネタばれ少しあります。

ジェンダー視点からディズニーが恋愛より姉妹愛を取った物語として言われることが多いですが、その点は確かに演出上明確ではあるものの、そんなに違和感は感じなかったです。ダブルヒロインで残りが全員男だと、そりゃ男の存在感はなくなります。異性間の恋愛部分も一応ちゃんとあるし。

ピクサーですけど「メリダとおそろしの森」は男性の扱いはもっとひどくて、もちろん大人の女性にうけるヒロイン像なのではあるのでしょうが、そこまでジェンダー的に正しい価値観に縛られなければならないのかという気もしました。アナと雪の女王のアナはむしろ典型的現代ディズニーヒロイン像という気すらするわけです。

どちらかというと面白いのは「ありのままの私最高」という自己肯定最高価値観に必ずしも肯定的ではないことです。自分もいわゆる社会現象としての「アナ雪」を「ありのままの」という曲からのみ知っていて、自己肯定賞賛物だと思っていたのですが、全く違うというのは衝撃でした。

観た人はわかりますが、この映画は「ありのままの自己肯定をしたら周りに迷惑かけまくって大変なことになるから自制しようね」という映画です。

「ありのままの」は完全に悲劇の文脈で歌われます。その悲劇の主人公としての自分に自己陶酔するという所がクライマックスという点がわりとめんどくさい感はあります。個人的には萌えるんですが。

あるものがブームになるときに、その一部が文脈から切り離されることにより、文脈を無視して、切り出した一部のみから解釈可能な別のわかりやすい見方が付与される。そのような状況は結構あると思うのですが、アナ雪が今まさにそのような状態になっている気がします。

しかしこれお母さんはとにかく子供にうけるんでしょうかね。冒頭の短編アニメもそうなんですが、ピクサーはもともとオタクっぽい部分があるのですが、ディズニーはそういうオタク臭さとは一線を引いていたイメージなんですが、一緒になったからか、一直線に親世代を狙った感があり、まあ売れてるからいいといえばいいのでしょうが、その点微妙な気持ちはします。

最後に自分は吹き替え版見たのですが、松たか子はよくがんばった。松たか子はCDも出してて、昔結構好きだったのですが、いつの間にかここまで大成しているとは。