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地点 光のない

非常に面白かった。自分は演劇は年5本くらいしか観てないのだが、それでもここ数年で最も面白かった。

演劇という芸術に何を求めるかというのは人さまざまだと思い、どれが正しいとも間違いとも言えないと思う。自分は演劇に物語を求めていない。率直に言えば役者の演技ですらない。自分が求めているのは、映画でも小説でも美術でもダンスでもパフォーマンスでもない、演劇という言い方しかできない表現によって伝わるものなのだと思う。

ただ、単に奇抜なだけの表現が伝わることと乖離していたらそれは問題で、この「光のない」については、戯曲の難解さと表現、そして「地震原発」というテーマの単純に解決できない重さが見事に合っていた気がする。

悪の政治家と完了と電力会社と科学者という単純な構図になればこれほど楽なこともないのだが、政治家と官僚と電力会社と科学者の恩恵を受けずに生活している日本人はほぼ存在しない。芸術が全てを解決する魔法なら素晴らしいのだが、芸術は明日の飯を解決しない。ボランティアは誰かが儲けたお金に支えられなければならない。

結局の所単純な解決策はなくて、面倒でも一つ一つ解決するしかない。そういう重さ。それを自分が改めて認識したと言うことが、物語やノンフィクションでない、演劇という表現形式の持つ価値なのだと思う。