ニブロール リアルリアリティ

人々の想像は 遥か彼方にある場所や 過去や未来にある時間を
あたかも今ここにあるかのように具現化しようとする


それでも人は遠くでおこっている悲劇を想像することすらできない
そこにある身体を共有することができない

http://www.nibroll.com/realreality.html

本公演を見たのは1/24である。このコピーはリアルリアリティの宣伝ページに以前からあったもので既に読んでいた。しかし、当日パンフでこのコピーを改めて読んで本当にびっくりした。それはまさに今、イスラム国人質事件で起きていることだから。

物語における悪の帝国。それは冷戦時代は共産主義国だった。冷戦後、それらは解体されて、国家ではなく企業や思想集団が悪になった。悪の帝国はあくまでフィクションだと思っていた。

で、イスラム国(ISIL)である。もちろん北朝鮮なども問題がないわけではないが、堂々と他国で殺害行為を行うということで、「悪の帝国」のレベルが違う。物事を単純化しすぎているのは理解している。理解している上での議論であることを了承願いたい。

自分はイスラム国人質事件は情報として知っている。でもそれがフィクションではなくリアルであることを感覚が拒否している。結局「わたしは なにも しりません」なのだ。

フィクションの「悪の帝国」は、現代においては悪の帝国というものが存在できないだろうという前提の感覚が共有されているから存在するのであって、その前提が崩壊しているときにフィクションをどう捉えればいいのか。「不謹慎」という形で自粛すればいいのだろうか。リアルとフィクションは異なると割り切って楽しめばいいのだろうか。

私たちは「身体」の届かない遠いリアルはフィクションと同じだと思っている。でも、遠いと思っているフィクションが、実は近くにいて、私たちの「身体」を浸食するかもしれないのだ。