ソシャゲ問題を解決する最も現実的な方法

ソーシャルゲーム。正確には主要なマネタイズ方法がガチャであるゲームは非常に多くの人に問題視されている。その理由として、課金リソースの入手方法がくじであることがあることにより、射幸心を煽る仕組みとなっている。そのため数十万という多くのお金を費やす人が一部にいるのが問題だという人が多いようだ。

この問題の解決として、パチンコと同じように確率の問題と考え、そこを規制すべきという考えの人がいる。個人的にはそれより現実的かつ効果的なのは、「アカウント毎の月額課金額の上限を規制する」方法だと考えている。以下にその理由を述べる。

確率を規制することに意味がない理由

1. 射幸性は確率の低さの問題ではない

たとえば宝くじはどうだろうか。もちろん宝くじに数十万費やす人もいると思う。しかし射幸性が高いかどうかは、単純に確率の低さでなく、期待額が現実的かどうかで決まる。

期待額というのは、1回の金額/確率で決まる。たとえば1回100円のくじの当たりが1/100だと、期待額1万円である。

ガチャの場合、最高レアリティの期待額がだいたい5-20万円と「払えないことはない」価格に設定されている。このレベルが「もう少し払えばひけるのでは」という射幸心となる。単純に確率の高い低いを言うことにあまり意味がないのだ。

2.実効性のある検査のためのコストが高すぎる

パチンコ業界は検定された遊技機が出荷後に検定違反の確率に調整されることを業界全体で黙認していた。ネットゲームの場合、確率を検証するのはさらに難しい。

たとえば検査機関を作成してそこに届け出を行い、専用のアカウントを発行してガチャを引いて検査し、その後、検査時のデータと運用時のデータに齟齬がないことを確認するため、匿名での検査を行う。どれだけ煩雑な仕組みとお金が必要か。結局役所の天下り団体が一つ増えるだけではないか。

アカウントの月額課金額規制のメリット

1. 最終的な問題に対して効果がある

最終的な問題は「けた違いに多くのお金を使う人がいる」ことなので、その問題を解決できる。もちろん、複数アカウントや、複数のゲームであれば多くのお金を使うことができる。しかし、現在多くのゲームは端末ごとに単一のアカウントしか作成できない。少なくとも現在よりはかなりましになるはずだ。

2. 既に厳密に履歴が管理されている

ゲーム内で買う魔法石などは法律上はプリペイドカートなどと同じ前払式支払手段であり、資金決済法の対象である。特定の条件において、金融庁に報告の必要がある。そのため購入履歴は非常に厳密に管理されている。
バーチャルマネー(仮想通貨)を使ったオンラインゲームを運営したいと思っていますが、仮想通貨の利用について法律上の規制はありますか。 | クレア法律事務所

3. 既に実装されている

JOGAという業界団体の自主規制として、18歳未満の場合、月額課金額20000円以内にするという規制があり、ほとんどの日本のアプリではこれが既に実装されている。

現実的には「18歳未満ですか?」と聞いたところで、まじめに答える人はそもそも課金しないだろうから意味のないポーズである。

しかし、全員が規制対象とシンプルにしてしまえばどうだろう。ゲーム会社側の工数も最小限で実装できるはずだ。

まとめ

例えば月額課金上限2万円だとしたら、お金を払ったとして、本人以外はそんなに目くじら立てることだろうか。もちろん学生が親の金を使うのだと問題だが、社会人が好きな趣味に月2万使っても怒るほどではないだろう。

もちろん、現実的にそんな動きがあるわけでは全くない。これが実施されたらモバイルゲーム会社は非常に大きなビジネスモデルの転換を迫られるだろう。しかし、社会的な影響を考えれば必要な規制ではないかと思う。

そしてもう一つ重要な点として、ガチャモデルでここまで成功しているのは日本だけである。モバゲーやGREEが見事に世界展開に失敗したのはそのためである。将来世界レベルで成長するには必要なことなのではないだろうか。