大塚国際美術館

もう一カ月前になりますが、鳴門にある大塚国際美術館に行ってきました。
http://o-museum.or.jp/

ここの特徴ですが、身も蓋もない言い方をすれば複製品の美術館です。本物はありません。もちろん公認の複製です。陶板であることは特徴ですが、観る側からすれば陶板だろうがアクリルだろうが複製品は複製品でしかない。

しかしそれでも面白いのは、圧倒的な物量で西洋美術史をフルにカバーしていることにより、実物大で絵が見られる美術全集という、ここでしかできない体験ができるからです。

特に凄いのは環境展示と言われる実物大の天井画、壁画の再現です。システィーナ礼拝堂についてはよくバチカンが許可したなと思えます。

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教会もいくつかあるんですが、建物についてはどうやってもこちらから行くしかないですからね。また保存という意味でも価値があると思います。
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絵画だけなので彫刻はありません。これはこの美術館のそもそもの成り立ちが、陶板のタイルに美術品を印刷する事業から来ているので仕方ありません。とはいえ面白いのは、壺の絵を展開した作品があります。
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展示の構成としては、古代、中世、ルネサンスバロック、近代、現代が量的に均等に展示されています。さらっと"均等"と言いましたが、これは実は結構すごいことです。日本では古代や中世については、物が貴重なのでなかなかまとまって見ることができません。まあ人気がルネサンスとか近代に比べてあまりないのもありますけど。

個人的な発見という意味ではルネサンスが中世に対してどう新しかったかという点が、身をもって体験できたということが良かったです。ボッティチェッリってエポックメイキングだったんだなあとか。まあ自分は中世の絵のほうが好みではあったりするんですが。

難点としてはとにかく数が多いことで、まともに見たら3日くらいかかると思います。自分は最初1日だけ観るつもりが2日間いました。鳴門に行ってここしか実質行ってないです。それほど美術史に興味なければ、環境展示だけ観たら、ルネサンスまで飛ばしても全く問題ないと思います。

しかし西洋美術史に興味があれば一度は行ってみる価値はあると思います。ルーブル行くよりははるかに安いですし。