ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書)
- 作者: 原田泰
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: 新書
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所得再分配の話は、結局どこからお金を持ってくるかという話に尽きるのではないかと思う。この本における基本的なアイデアはこれである。
- 1人あたり年84万円無条件で給付する
- 所得税は収入の多少を問わず、一律30%とする
これによって、現状18兆円の所得税収入を80兆円まで増やすというのが基本的なアイデアである。その他いろいろ細かく書いてあるが、基本はこれである。
この本の問題点は、これによって誰が負担が大きくなるのかがきちんと書いていないことである。所得階級ごとの全体の収支の話は書いてあるが、結局誰もが気になるのはその点で、そこが書いていない。そこで、現在の所得税率から計算してみた。
現在の所得税率はこちら
No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁
どうだろう。主に600万-1500万の中堅層に負担が集中している。人数が多くてお金があると言えばそこしかないので、当然と言えば当然である。
この点について、社会的にそれなりに力のあるホワイトカラー層を納得させるのは、かなり難しいのではないかと思われる。アメリカやイギリスのような断絶は起こるだろう。
ただ、BIという形でないにせよ、将来的に多くの高齢者が生活保護を受けるようになれば、結果としては同じことが起きるだけである。そのための思考実験としては十分だと思われる。