閃の軌跡 1/2 改

今更ですが閃の軌跡 1/2改をクリアしたのでその感想です。空の軌跡FC/SC, 零/碧の軌跡はクリアしてます。

結論としては、グラフィックやバトルシステムはよくできているけど、ストーリーやキャラクター面では空、碧と比べると残念な感じだったように思います。以下詳細です。クソ長いです。

グラフィック

グラフィックについては元がPS3なので、モデリングは厳しい部分もありますが、演出は良かった気がします。映像全体の整合性をよく考えている。

言うまでもないですが、SIEや海外タイトルとは比べるまでもないので、日本の他の中堅ソフト会社作品との比較になります。

キャラクターのモデルは結構つらいものがあります。この前にVitaのアーシャのアトリエをやっていたのですが、VitaからPS4に変わったのに、モデリングの劣化の格差に愕然としました。元ががPS3版でVitaも対応していたのもあり、PS4専用タイトルの3ではかなり良くなっているようです。

演出については良かったと思います。単にいきなり人が話すのではなく、状況説明的な人の映らないカットが効果的に入っていて、映像であることをすごく意識していると感じる。テンポが悪いと感じる人もいるかもしれないですが、そういう丁寧さは自分は好きです。

またキャラクターの服も、きちんと状況に合わせて自然な服を着ているのがいいです。寝るときも戦闘時と同じ服を着ている作品は意外と多いのです。もちろんそのためのコストを考えると仕方ない部分もありますが、単にモデル単体のキレイさを優先するか、映像全体の整合性を優先するかで、そこはポリシーがはっきりしている。

台詞の表示も、吹き出し式で、画面構成上吹き出しが出せない場合はダイアログ表示というのも映像全体の整合性という意味では正しい。ダイアログのキャラクター画像が3Dなのも、映像全体の整合性という意味では納得がいきます。

過去作で出てきた場所が3D化されるのも感慨深いものがあります。PS3版ではそのためロード時間がかなりつらいものになったようですが、PS4でやっとその価値が正しく評価される気がします。

バトルシステム

バトルシステムは一見変わっていないように見えて、かなり変更されたなあと感じます。難易度も適度で、緊張感あるバトルも多く、普通に面白かったです。

大きく変わったのがアーツとキャラクター交代ですね。アーツはこれまでのアーツ表と見比べるシステムから一新されて、クオーツとアーツが直接結び付くシステムになった。以前のアーツ表と見比べるシステムが、画面と見比べる紙のマニュアルがないと厳しかったのを考えると、時代的にそうなるのかなあと。

最初はこれで単純化されてつまらなくなるのではと思いましたが杞憂でした。使えるアーツが限られる分、より厳選する必要が出てきた。これまでだと下位アーツは上位アーツが使える状況なら自動で入ってきましたが、それができなくなり、コストと効果のバランスも考える必要が出てきた。

バトル内のアーツの選択肢が減るのではとも思いましたが、そこはノーコストでのキャラクター交代によりカバーできるなったのは、非常にバランスが取れていると思います。

あとは全体的にクラフトもアーツも強くなったように思います。ガイウスの1ターンでSクラフトが使用できるとか、エリオットの毎ターン回復 + 防御アップとかは最初チートかと思いました。最後はセラフィムリングで全員復活 + 完全回復が誰でも使えるようになるし。これまであったアーツを封じるアーツはなくなりました。

一方で敵も強くなり、最後の1人になってから、立ち回りで逆転することも可能という派手なバトルが増えたように思います。オーバーライズも使いどころにかなり悩むシステムで、これでボスにとどめを刺すことも多く、いいシステムだったと思います。

難易度的にはラスボス級は難易度下げてリトライ使いましたが、それ意外は何度かチャレンジすれは通常難易度でも勝つことができ、自分にとってはいい難易度だったと思います。

若干どうかと思ったのは、数の多い中ボスでシナリオ上必ず先制攻撃を取られるパターンですかね。Sクラフトで割り込みかけないと1ターンで全滅するので。あと、新ギミックは少なかったですね。拘束して毎ターンHP吸収くらいか。あれは厄介でしたが、システムとしては考えがいがありました。

騎神戦はバトルの奥行きという意味では単調だった気がしますが、一つ良い点を挙げるなら、第二形態を作らずに盛り上げることができることですかね。今回ラスボスも含めていわゆる第二形態になるボスが全くいませんでした。その代わりに騎神戦があった。

第二形態って第一で死力を尽くした後にセーブなしで突入するので、バトルの長期化と敗北時のやりなおしのつらさを伴うのですが、騎神戦ならほぼ負けないし、盛り上がりもするので一石二鳥の効果があります。騎神戦面白くないと思いながらも「ヴァリマーール!!」にはやはり燃えるものがあります。

シナリオ

問題はやっぱこれですよね。イマイチだった原因を考えたのですが、一番大きいのは「終章以外は単調な展開だった」からではないかと。

台詞がベタなことは、過去の軌跡シリーズもそうだったので、過去のシリーズに比べて"閃の軌跡"がつまらない理由ではないだろう。違いは何かを考えたのですが、後半である2が驚くくらい単調なんですよね。

そもそも冒頭で敵キャラクターが全部出てきてしまう。彼らの多くは1では出てこなかったので特に因縁もなく、単に雇われているだけで、ストーリー的に敵対する理由がない。結社メンバーはどうせ倒せないし、一時的に倒しても背景も何もわからない。そのため、物語的に感情移入するポイントがほとんどないのです。

全体の流れとしても、最初1人だから仲間を集めるだろうということ、内戦なので貴族派と戦っていくだろうこと。最後に結社と絡むラスボスがでるだろうことまでは、2の冒頭の時点で、これまでのシリーズをやっていれば予想はできるわけです。そしてその通りに淡々と進められる。

軌跡シリーズは、18-19世紀あたりの世界をモデルにして、政治や国家といったテーマをうまく扱ってきたところが評価されてきた部分もあると思います。今回は、軍隊、帝国、地方と中央、貴族、内戦といった面白いテーマを扱っている割に、それらがあまりうまく生かされていないように思います。

学園物をやるにあたり"士官学校"という設定自体は秀逸でした。実際に存在した学校組織ですし、これまで、遊撃士という民間の自警組織と警察を扱っていたことを考えると、次が軍隊であることは必然でした。

しかし"軍隊"はカジュアルに扱うにはやはり難しかった。警察と比べても近代国家の軍隊は命令に従うのが絶対で、自由意志とは相性が悪い。"貴族派、革新派とは中立"と何度も言う割には、結果的には革新派側にしかつかなかったのも、いったい何のための中立なのかという気になります。

とはいえ、内戦要素だけを切り離して考えると、現実の内戦、それは昔だけではなく、今のイスラム国等の内戦が丁寧に再現されている気がします。

急進的な中央に対する保守的な地方の反発、その思想が先鋭化したテロリズムテロリズムを利用したクーデターからの内戦。他国からの干渉に対する交渉。象徴としての王家の利用。意外と冷静な地方住民。クーデター政府の思想の不統一による瓦解。

これまでは小国や一都市だったので、中央と全体が一緒だったのでわかりやすかった。現実の大国の内戦はもっと局所的で地味でわかりにくい。

しかも、この手の話では通常主人公は中央の圧政に対する反乱軍側になるのですが、今回は正規軍側だったのでカタルシスが得にくい。この辺りが、つまらなく思える理由でもあると考えると少し複雑な気にもなります。

テロリズムと内戦という要素に最もフォーカスしたのが1と2の最終章です。特に2の終章のリインの台詞「なんであんたが...」は、本来主人公としては言ってはいけない台詞だと思います。それを言わせるための話だったと思えば、この長い話にも意味があったのかと思います。

終わり方も考えると、3/4前提の話であって、まだ前半戦ということなのだと思います。フルプライスのゲーム4本、5年かけてリリースして1つの話を作るという戦略は凄いとは思いますが。

キャラクター

キャラクターについては完全に好みの問題でしかないんですが、Ⅶ組女子が全員萌えなかったですね。みんな"リインさんのおかげです"で張り合いがないというか。アリサも割とあっさりデレてしまうし。

脇役キャラクターのほうが魅力的でしたね。クレア大佐は1でクールさが好ポイントだったので、2で使うことも攻略もできるようになりうれしかったです。私服もかわいい。まあ戦闘ではあまり使えない感じですが。シャロンは戦闘でのメイド服とのギャップがいいです。あとは真のお嬢様キャラとしてのアルフィン殿下か。全員使えるようになった時のギャルゲー感は別のゲーム感があって楽しかった。

あとはデュバリィでしょう。屈指のボケ役。たまに出てくる私服もかわいく、船内イベントで、最初室内に入ると私服なのに、なぜか戦闘服に着替えてリインと話します。途中着替えてたのかと思うと、萌えポイント高すぎます。このレベルのボケキャラがⅦ組にも欲しい。

ただこれについても思うところはあって、この話って根本はリインとクロウ先輩の話。あえて言うとBLなんですよ。ピュアな魂と魂の交流としてのBL。その点においては一点の曇りもない話です。その意味においては女子との関係は茶番でしかない。

男女の関係が"フラグを立てて選択する"関係になった結果、むしろBLのほうがメインになったというのはなかなか面白い感じがします。しかし、空の軌跡は男女の恋愛、碧の軌跡は子供への愛がテーマだったことを思うと、閃の軌跡は男と男のいい意味で熱い関係がテーマになったのはこれも必然なのかもしれません。

まとめ

やたら長くなってしまいましたが、軌跡シリーズを愛するが故というか。

すぐに3をやる気は起きないのですが、3/4はやっと結社との直接対決らしく、PS4専用タイトルなのでグラフィックもかなり向上しており、そのうちやろうかと思います。