トム・サックス ティーセレモニー

東京オペラシティアートギャラリー

特定の文化のオブジェを別の文脈のオブジェで作るという方法論自体はよくあるので、それ自体に目新しさはない。わかりやすいし、"商品"としては非常に売りやすいのではないかと思う。ナイキとコラボとかしているらしい。

それでもいいと思ったのは、「茶道は禅であり、禅は宇宙なのです」的な小難しい話を、「宇宙ならNASAでしょう」というそのまんま感あふれる発想に持って行ったところで、その軽さは嫌いじゃない。"NASA"のロゴが入った茶碗を見ると、この重さと軽さの入り混じった感覚は確かに何とも言えない味わいがある。
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実際のところ、禅とリアルな宇宙はアメリカにおいては無関係とは言えず、西海岸で禅が流行ったのは1960年代のヒッピーカルチャーの影響で、作品にも使用されているヨーダやスポックは間違いなく、当時の禅をはじめとする東洋思想の影響によるキャラクターである。しかしこれはウケた。
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偉そうに言ってはいるものの、日本人である自分がそもそも茶道の文化に疎く、茶道の元ネタがわからなかったものも正直多い。特に意識せずにこのあと日本庭園の見方の本を買ったのだけど、この本を読んでから見たほうが理解が深まったかも。