ひとりぼっちの○○生活

日常系アニメにおける「やさしい世界」の象徴的な作品だと思います。

自分自身が重度のコミュ障で友人がほとんどいない。別に佳子ちゃんのように強くなりたいわけでもなく、単に他人に興味を持つことができないのです。

そういう人は非常に少数の友人だけで世界を構成すれば満足なのはすごくよくわかるし、「クラス全員と友達になる」のハードルの重さもわかる。

ぼっちの初回の象徴的なエピソードである「自己紹介で緊張して吐く」は結構ギリギリのネタだと思ってます。気絶は実際にはそんな人いないからギャグとして笑える。

でも緊張のあまり気分が悪くなるのは小学生くらいだと実際にいそう。そしてコミュ障の子はその後ゲロをネタに虐められるというのは、結構リアルに思えるんですよ。

なこちゃんとの出会いで最初に「ゲロ」ってよばれるのはそういう現実を無視していない。その上で仲良くなるのが「優しさ」に思えるんですよ。

ぼっちのコミュ障ぶりはもちろん漫画なので極端な部分はあるけど、何を話したらいいかわからないネタ等わかる部分も多い。それを相手をきちんと理解したうえで方向を示す"なこアル"の優しさは本当に素晴らしいと思います。

とはいえ、これが単なる友情成長物語であったら個人的には全く面白くないのです。容赦なく繰り出されるギャグの面白さ、原作のイラストのすばらしさ、そして女の子のかわいさと日常系の基本要素を完璧に満たしています。

アニメならではの面白さとしては原作の歌の広げ方が最高で、まけるなアルはまあ予想できるとして、爆笑ぼっち塾校歌は完全に予想外でした。本編のネタですらないのに...

またアルちゃんは原作でもかわいいけどアニメだとかわいさ5割増しでした。残念という隙を見せたうえでの姉属性とか、あざとい感じがわかっていてもかわいすぎです。ちなみに自分は妹より姉派です。どうでもいいですが。

そしてぼっちが第七話でマジ泣きするエピソードが感動しましたね。「悲しくて大声で泣く」は通常演出としては最低だと思うんですよ。演出として何の工夫もないじゃないですか。

でもここでは中学生という年齢、ぼっちにとっての唯一の世界の親友であったかいちゃんとの友情の重さを考えると、これ以外はありえなくて、声優さんの演技も良かった。本当に良い演出だったと思います。

意外と重いテーマがありながら、隙のない良いアニメだったと思います。