目的が正しい時は理論を疑え

正しい目的について書かれている文章こそ、理論が正しいかどうかを検証すべきではないかという話です。ここでは2つのパターンを想定しています。1つはある目的が正しいということを主張するための文章。もう一つは目的の正しさは自明のものとして、その達成…

Chim↑Pom展:ハッピースプリング

「正しくない余地」こそが現代アートの提起すべきものではないか。現代アートが一般的に最も話題になるのは、作品や展覧会によって社会的に問題が起きたときである。その意味では最も「現代アートらしい」作家と言える。自分はアートであることが法律的、倫…

暇と退屈の論理学

暇と退屈の倫理学(新潮文庫)作者:國分功一郎新潮社Amazon日常系とは理想の退屈状態である。子供のいる世帯と、独身者のいる世帯の一番の違いは何か。それは独身者が暇だということだと思う。もちろん独身であっても働かなくてはならないけど、子供のいる世…

あいうら

あいうら(1) (角川コミックス・エース・エクストラ)作者:茶麻KADOKAWAAmazonWeb発だからできたのではないかと思われる、ポストあずまんが大王。あいうら全7巻読み終わりました。久しぶりに読み終わるのが勿体なく思った面白い作品でした。例によって女子高生…

エスカ&ロジーのアトリエ DX

【Switch】エスカ&ロジーのアトリエ ~黄昏の空の錬金術士~ DX (パッケージ版封入特典(オリジナルサウンドトラック ダウンロードシリアル) 同梱)コーエーテクモゲームスAmazonエスカ&ロジーのアトリエをエスカでGOODエンドクリアしました。リンカ、アウィンED…

ふたりべや

ふたりべや 【電子限定おまけ付き】 (バーズコミックス)作者:雪子幻冬舎コミックスAmazonふたりべや最新刊まで読み直したんだけどやはり良い。でもふたりべやの良さって結構言語化しにくいと思っており、一度も書いたことなかったのですが、書いてみようかと…

観音像とは何か

観音像とは何か 平和モニュメントの近・現代作者:君島 彩子青弓社Amazon現代日本における宗教について考えさせられる。本書は仏像についての本ではあるが、明治以降の観音像についての記述がほとんどを占めている。近現代の仏像という時点で美術史からも宗教…

"人への興味"という能力

コミュ障というのは"人への興味"という能力が低いことなのではないか。自分は強度のコミュ障である。目的のある会話は問題なくできるのだが、雑談ができないタイプのコミュ障である。問題意識は多少はあるので、よくある会話ノウハウ的な文章を読んだり、会…

劇場版スタァライト オーケストラコンサート

すごい感動したということを書くだけで、考察とか何もないです。劇場版スタァライト観た後でだれもが「これ絶対レヴュー曲全曲ライブやるだろ」と思うと思うんですよ。アニメ版のレヴュー曲もやってるし。それでBD発売後のライブイベントが「オーケストラコ…

絵画のゆくえ 2022

絵画の可能性を久しぶりに感じた。SOMPO美術館。本展はFACEという公募展の過去三年間のグランプリ、優秀賞受賞作家12名の近作のグループ展である。だから同じ賞の受賞者であると傾向はあるものの、全体として何かテーマ性があるわけではない。しかしだからこ…

転職学

働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは作者:中原 淳,小林 祐児,パーソル総合研究所KADOKAWAAmazon特に今転職を考えてるというわけでもないのですが、どこかで読んだこの著者の記事が面白かったので読んでみました。正直そこ…

製作委員会は悪なのか? アニメビジネス完全ガイド

製作委員会は悪なのか? アニメビジネス完全ガイド (星海社新書)作者:増田 弘道星海社Amazonなるべく主観によらずにビジネスとしてのアニメの仕組みを解説した本で面白かった。アニメーターの賃金安い問題については正論ではあるが、他の視点もあるように思う…

民藝の100年

日本民藝館とは異なるアプローチで民藝に迫るいい展覧会だった。東京国立近代美術館。 歴史の中の民藝 民藝品とはどういう品なのかを見たければ東京駒場の日本民藝館に行けばよい。実際今回の展覧会の展示物もほとんどが日本民藝館の収蔵品である。その上で…

池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて

見えないものについて考えさせられる良い展示だった。府中市美術館。池内晶子という名前は覚えていなかったが、赤い糸を使用した印象的な作品はいくつかの展覧会で観ていて印象が強かった。その作家の美術館の初個展ということで行ったのだが、そのうち一つ…

終わりの吸血鬼さん

となりの吸血鬼さんの最終巻8巻を読み終わった。最終回について思うところをちょっと書いてみる。2021年はアニメ化された日常系漫画の連載終了が多かったように思う。自分が単行本を買っていた作品だけでも、となりの吸血鬼さんだけでなく、のんのんびより、…

復活したごちうさ10巻

ごちうさ10巻読み終わったのですが、ギャグ漫画としてのごちうさが復活した印象で嬉しかったです。いやお前は何を言っているんだ、ごちうさはいつも最高だろうとか、今までと同じくキャラは可愛いけど笑えるかというと微妙とか、そういう人も沢山いるとは思…

2021年 良かったもの: 美術編

美術編です。去年観た展覧会は45本でした。ほとんど現代美術ですね。コロナの影響で海外作家の大規模な展覧会がやりにくくなった影響は確実にありそう。コロナの影響で事前予約制の展覧会が多くなりましたが、去年に比べると減った感じ。事前予約推奨ではあ…

2021年 良かったもの: 書籍編

書籍編です。今年はシリーズものを1冊として23冊読んでますね。昨年からある読書会に参加してましたが、結局参加しなくなってしまいました。それによって冊数が減ったのもあります。理由はいくつかあるんですが、まあどういう感じかわかったし、読みたい本を…

2021年 良かったもの: TVアニメ編

TVアニメ編です。今年放映のアニメだけでなく、自分が今年初めて観た過去のアニメも入ってます。過去のアニメを毎日観るような生活になって3年目くらいです。自分はかなり嗜好が偏ってるので、自分にとって面白いアニメがある期間は短いだろうなと思っている…

2021年 良かったもの: アニメ映画編

年末恒例の良かったもの振り返りです。今年はアニメの映画編とTV編を分けます。理由は今年のアニメ映画はちょっとおかしいくらい観るべきものが多くて傑作も多かった。ここ20年くらいで今年は最も映画館に行った回数が多かったかもしれないです。 劇場版 少…

ガーリッシュ ナンバー

ガーリッシュ ナンバー観終わりました。すごく面白いアニメだった。いろいろ書きたいことがあるのですが、3つの点で書いてみます。 クズな自分と向き合え このアニメはとにかくちーさまがかわいいんですよ。ちーさま見た目はかわいいけど、口は悪いし、努力…

Viva Video! 久保田成子展

1960-70年代の現代美術の歴史と同時に、女性として生きることの影の部分も感じる展覧会だった。1960年代のニューヨークが1950年以降の現代美術の歴史の中で最も先鋭的な時代と場所だったことは異論はないと思う。日本人女性美術家の海外での活躍という意味で…

3つのアフォーマティブアクション

自分はミソジニストですが、男女の社会的な力の差の是正はある程度必要だと考えています。"社会的な力"はここでは経済力と政治力です。この2つがおおむね社会的な力を規定していると思います。アフォーマティブアクションは制度の中でも強く副作用も大きいで…

降りられる組織

「働かないおじさん」という言い方があります。働かないおばさんだっている気がしますがそれはさておき、起きているのは成果と給与の不一致です。これ自体は珍しいものではないように思います。ただ冷静に考えてみれば、成果と給与が一致していないなら、成…

文明の衝突

文明の衝突 (上)(下)巻セット (集英社文庫)集英社Amazon未来予測的な書籍で20年後に読んで「確かにその通りだった」と素直に言える本も珍しいのではないか。冷戦後の国際政治を扱った1990年代の書籍で、先日書評を書いた「歴史の終わり」と並んで語られるこ…

川端龍子 vs.高橋龍太郎コレクション

川端龍子の戦争画という文脈が面白かったです。龍子記念館。川端龍子好きなんですよ。インパクトこそ全ての大画面と時事ネタを含む日本画。日本画だからと言ってお高く止まってても時代に取り残されるだけという強い使命感。下世話と言えなくもないけど、や…

現代アートとは何か

現代アートとは何か作者:小崎哲哉河出書房新社Amazonざっくりしたタイトルなので初心者向け入門書に見えるが、正直入門者向けではない。内容的にはどの章も興味深いが、内容がバラバラなのもあり、いくつか考えさせられると思った点を書いていきたい。 アー…

美男におわす

イケメン好きでも全然いいんじゃないですかね。自分も美少女好きだし。埼玉県立近代美術館別にイケメンの魅力に目覚めたわけではないが、単に面白い視点の展覧会なので行ってみた。"美男"を扱うにあたり、女性から見たイケメンと男性から観た衆道的な意味で…

自身の心と他者の現実: BLUE REFLECTION RAY

BLUE REFLECTION RAYを全話観終わった。最初のうちは欠点が目に付く部分もあったが、最後まで観てみると「心に向き合う」というテーマに愚直に向き合った良作だったと思う。これ以降は最終話までのネタバレを含むので注意。 本作は2つのテーマに分けられるよ…

梅津庸一展 ポリネーター

男性の問題については男性自身で考えるしかない。いろんな作品があるが、インパクトがあるのはやはり自身の裸体をテーマにした作品だと思う。絵画もあるし、もっとストレートに全裸でいろんなことをする作品もある。女性の裸体を男性が観る場合、エロスとど…