牧阿佐美バレヱ団 ノートルダム・ド・パリ

牧阿佐美バレヱ団のノートルダム・ド・パリを観てきました。先週は同じくローラン・プティ振付のこうもりを観たので今月はプティ月間です。重なるのは追悼からスケジュール組むからなんでしょうね。

最初の音楽でしばらく演奏だけだろうなあとちょっと目をつぶっていて、目を開けたら舞台がとんでもないことになっていてびっくりしました。演目間違ったかと思った。衣装とメイクがインパクトありますよね。イヴ・サンローランらしいです。ファッション全く疎いので名前しかしらないですけど。

本作のポイントは身体的な美しさを是とするバレエにおいて、「醜い」主人公をどう表すかという点だと思うだけれど、その点は秀逸だったと思います。単純な醜さではない、内に秘めた美しさと、それを体現したいと思いながらも、結局は醜い体に縛られてしまうもどかしさとかが動きにきちんとでていたのではないかと。あとは盲目的な大衆の表現もいいです。

全体的に演劇的ですね。セットもバレエにしては構造的に凝っており、セットの動きも効果的にストーリーに組み入れられています。肝心の鐘はかなりしっかり作られている割には、割とあっさり撤収されてしまいましたが…もったいない

あと、この話自体はかなり暗い話なんですが、笑える部分もあります、服剥ぎ取りとか、酒場のダンサーの肉襦袢とか。今考えるとこれも身体的な美しさと醜さという本作のテーマに沿った仕掛けなのかもしれません。

しかしまあ何の救いもない話ですよね…バレエって悲劇とハッピーエンドだと圧倒的に悲劇の方が多い気がするんですが、そのほうが受けるんですかね。最後を盛り上がるダンスにできないから、作りとしては難しいように思うんですが。