会田誠展

会田誠展に行って来ました。森美術館の個展なので代表作がほぼ全部観られるという充実ぶりでした。率直に言えば会田誠について真面目に文章を書くこと自体がギャグとしてしか成立しないのですが、少しだけ書いてみます。

会田誠の作品を構成するネタには、一般社会ネタ、美術ネタ、エログロがあると思いますが、メインになるのはやはり美術ネタなのではないでしょうか。その意味でわかりやすいようで意外とわかりにくいです。

方法論としては日本画の超絶テクでネタ絵を描くというのが初期でしたが、その後は真逆のマジックで書くヘタ絵なんかもあり、これはこれでヘタな絵でくだらないことを描くという無意味極まりないことが、芸術家の描くヘタ絵的なものの美術評論家による評価に対する皮肉になっていて面白いです。マイクロポップとかあったよね。

今回改めて作品を見て思ったのが、会田さんの描くロリコン的女子高生とグローバルアート批判の関係。自国のネイティブな文化で自国では気がつかないが、他国から観ると異質なものをアートの文脈にのせるというやりかたが、グローバルなアートの方法論としてあるわけです。まあ村上隆さんとかね。

また村上さんの話になるけど、一時期はオタク系アーティストみたいな文脈で、会田さんと村上さんは類似のアーティストとして語られたと思うんですよ。ただ、村上さんはHiroponとかKO2ちゃんをやったあとは、キャラクターはやったけどロリコン的なものからは一切手を引いた。なぜか?

全く推測ですが、ロリコンは欧米で非常に強い社会的非難の対象だからじゃないかと思うんですよ。もちろん日本でも非難されます。ただ、嫌いな人も多いであろうとはいえ、AKB48をメジャーとして社会的に受け入れてしまう部分もあるわけです。

美術家たるもの、実際できるかどうかは別として、海外に売り込みたいという考えは皆あるでしょう。そしてロリコンはその上で禁忌とすると、あえてそれをメインのモチーフとして取り上げること自体が、グローバルアート批判になるのではないかという気もするわけです。英語嫌いそうだし。

とはいえ、今では会田さんは国際的な評価も高くなってしまったようで、良くも悪くもアートという文脈は何でも飲み込んでしまうのだなあと思います。