めめめのくらげ

決してアート映画ではなく「実写版ポケモン」でしかないんですが、その点に納得さえしてしまえば子供は結構面白いんじゃないかと。

正直予告編見ても全く期待しておらず、ただ村上隆さんの冷やかし的な意味で観にいったんですよ。最初に黒フードの4人組と魔法陣と研究所が出た時点で「これ真面目に見るだけ無駄だ」とわかりました。

全体的に子供が飽きない仕掛けという意味では、かなり丁寧に作られていると思います。ポケモンバトルあり、巨大怪獣あり、ツンデレ最強ヒロインとの淡い恋もあり。押さえるべき部分は抑えているし、変に説教臭くもありません。

逆に言うとそれ以上の大人が感動する何かがあるわけではないですが、ターゲットを絞ったのはいいと思います。

ただファミリー向けを狙うのならば、プールと女子更衣室は入れなくてもよかったんじゃないですかね。問題となるほどの表現ではないですが、気にする人もいると思うんで。

あと謎はもう少し本作で解決した方が良かったのでは。続編作りたいのはわかりますが、ある程度解決しないと子供も納得いかないと思います。エンターテイメントに徹するなら、まずは今回観てくれた観客に真摯に応えるべきです。


これはアートではないと言いましたが、あえて深読みするなら、これはアートではなく、単なる子供向けのエンターテイメント作品でしかないこと自体が、「村上隆の」アートしては意味があるかもしれません。

つまり、村上さんの作品は、もともと日本独自のエンターテイメントの文脈を、アートの文脈で読み解くことによって成立してきた部分があります。

そのために使われたキャラクターを、元の純粋なエンターテイメントの文脈に還元することは意味があります。KO2ちゃんはこれで晴れて正しく原作付きの「フィギュア」となったのです。

この作品、今年は夏休みにジブリがあるので、もう少し夏休みの目玉のない年に夏休み映画として公開してもらったら、もうちょっと行けたのではという気もします。