劇団四季 コンタクト

四季らしいダンスという意味では堪能できた。

ミュージカルは劇場で観て面白かったことが正直あまりなく、四季も観ないのだが、コンタクトについてはダンスエンターテイメントということで以前から気になっており、今回の再演でやっと観た。

3つの独立した話があって、台詞もあまりなく、既成曲で、歌もないというということで、ミュージカルを期待すると残念なことになるが、ダンスの舞台的にはわりと良くある構成だと思う。ちょっと台詞が多いくらいか。

意外だったのが、結構ブラックで下ネタもありという構成で、四季ってもっと清廉潔白な印象があって、自分が観たのもそういうのばっかりだったので最初はなじめない感じ。第一部はダンスすらなくて、周囲もポカーンとしていたように思う。

ダンス的にはやはり第三部のスウィングダンスが一番良かった。自分のよく見るバレエやコンテンポラリではやらない方向性なので新鮮だったし、ダンスの構成も面白くて、ダンサー的にも向いている気がした。

たぶんこれは第二部の逆説で、クラシック音楽にバレエベースのダンスとなると、自分はどうしてもバレエダンサーと比べてしまい、そうするとやはり中途半端な印象をうける。

バレエは本職の非常に厚い層があるので、やはり四季はアメリカンミュージカル系のダンスの方がのびのびとして美しい感じがする。レストランで踊るのが楽しいと思うので演出としてはいいと思うけど。

一方物語についてはいずれも全く主人公に感情移入できるポイントがない感じ。第二部ではパンを出さないレストランに怒りを、どうでもいい話をする主人公女性がうっとうしく感じたし、第三部の主人公は、広告業界であの地位にいる人がそんなメンタル弱いわけないだろうとか、そもそも夜中の3時にうるさい奴に同情する余地なしとかしか思わなかった。

まあこの話は元々ニューヨーカー向けの話だし、四季のターゲットも30代以上の女性と思うので、その辺は仕方ないのかもしれない。