2017年良かったもの: 書籍編

2017年良かったものまとめです。
書籍は今年は宗教、格差問題あたりの本を読みました。
またビジネス書の定番もそれなりに読みましたね。

新約聖書 文春新書版

新約聖書 1 (文春新書 774)

新約聖書 1 (文春新書 774)

宗教系の本はいろいろ読んでいた割には、実は今まで読んでいなかったです。
旧約聖書を読んだことは昔に一度あったけど、挫折していたんですよね。新訳のほうが福音書だけなら短いので読みやすいです。
キリスト教を信じようとは特に思わないですけど、西洋文化のありとあらゆるものの元ネタであるので、面白くないわけがない。佐藤優の解説も面白いです。

イスラーム帝国のジハード

イスラム国関連の書籍を今年はいくらか読んでいましたが、「現在を知るには歴史を知る」は鉄則ですね。宗教も歴史的文脈からは切り離せない。単純に中東史が自分の中で抜けていたので面白いのもあります。
ただ、自分の中で「なぜイスラム教が世界でこんなに受け入れられているのか」はまだよくわからず、そこは今後考えていきたいです。

大不平等

大不平等――エレファントカーブが予測する未来

大不平等――エレファントカーブが予測する未来

エレファントカーブというのが格差の文脈でたまに出てきて気になっていて読みました。
現代の先進国で起きている格差問題をわかりやすく説明する方法として、エレファントカーブは確かに非常に納得感があります。そして世界的には格差が縮小しているからこそ単純な問題とは言い難いことも。
また、格差を縮小する要因としては実は戦争が大きいとか、国家間の格差をなくすには市民権制限付きの移民が有効なのではとか、いろいろ論点が多く面白いです。

観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

ゲンロン0 観光客の哲学

哲学書って論理の難易度や必要な前提知識が書籍によってあまりにも差があるのですが、本書はそのバランスが自分にとってちょうどよく、考える読書体験というものを心地よく行うことができました。まあ海外旅行が好きなのを自己肯定したいだけではと言われればそれまでですが。

現代においていわゆる「ポピュリズム」を支えるのは、労働問題という従来は左翼が引き受けてきた問題なのに、それが機能していないのはどうしたものかという問題を考えるにもいいんじゃないかと思います。

さあ才能に目覚めよう

自己啓発書ではなく、性格診断テスト的なもので、本を買うと診断コードが付いてきて、Webでテストを受けられます。自己分析的なものは他にもいろいろやりましたが、これが一番いいです。

理由としてまず「短所を克服するのは美しい物語ではあるが、長所を生かすほうが現実的には有効である」という基本的な考え方がいいです。理屈ではわかっていても、現実には多くの人は「短所を直す」ことを要求しがちです。

もう一つは、少なくとも自分は診断結果にかなり納得感があることですね。結果には明らかに社会的に望ましいものもありますが、結構微妙なものもあります。自分は「慎重さ」がトップなのですが、良い面も悪い面もあり、現実にかなり起きていますね。

Androidを支える技術

Androidを支える技術〈I〉──60fpsを達成するモダンなGUIシステム (WEB+DB PRESS plus)

Androidを支える技術〈I〉──60fpsを達成するモダンなGUIシステム (WEB+DB PRESS plus)

これを読んで最新のAndroid開発に役立つかと言われるとそういう本ではないです。
ただ自分自身が、Android以前のモバイルプラットフォームにそれなりに関わってきた立場であり、過去に悩んできたことが、こんなスマートな仕組みで解決されているということを知るのは、非常に感慨深いものがあります。
エンジニア、特にWebやモバイルの世界はどうしても最新の技術だけを追いかけるだけで手いっぱいになってしまいますが、過去からの成り立ちを知ることもまた重要だと思います。