お金2.0 新しい経済のルールと生き方

著者がメタップスの社長ということで期待したのですが、現状分析はさすがにしっかりしているものの、それ以降についてはあまり目新しい話はないですね。

2章までは面白いです。現状の分析として適確だと思いますし「持続的に発展する経済システムの5原則」は非常に面白いと思います。

ただ"経済"の定義を"コミュニティのためのシステム全般"まで広げるのであれば、それははるか昔から国家以外にもあったわけです。それこそ地域の共同体や宗教だって経済です。その意味では別に現代になってなにか新しく”経済の民主化"が起きたわけではありません。

また通貨の発行権という話に限っても、中央銀行制度以前からほとんどの国にあったわけです。正直そのあたりの論理がかなり雑な印象を受けます。

評価経済」の話は、どうしても岡田斗司夫の「評価経済社会」を思い出しますね。「ぼくたちの洗脳社会」が1995年ですから、概念とシステムがやっと時代に追いついた感があります。今やっとその第一段階の実証が終わったというところでしょうか。

無形の価値の定量的な変換の難しさという意味では、法定通貨だろうとトークンだろうと本質的にはあまり変わらないわけです。根本的な問題は、法定通貨トークンを異なる概念としている点で、法定通貨トークンの一種にすぎないわけです。

そして価値とは無関係にトークンを増やすことに多くの人が熱狂している現状を見るに、まあ正直あまり変わらないのではと思いますね。