「若者」をやめて、「大人」を始める

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

「若者」をやめて、「大人」を始める 「成熟困難時代」をどう生きるか?

はてな村の有名人シロクマ先生の書籍。ブログはたまに拝見しているが、書店で見かけたので買ってみた。

著者と自分はほぼ同年齢ということもあり共感できる部分も多い。ただ現状肯定的過ぎて、書籍としては正直味気ないのも事実。この本の骨子は「他人の立場を理解しよう」なのでそうならざるを得ないのだが。


この本で言われるのは「中年になったら自分の成長には限界があるので、後進の成長にフォーカスしよう」ということだ。ただそれが最も自分にとって成果を出せるかというと人によると思う。

管理職になるなどして後進を育てることに注力するにしても、管理や教育もまた適性がある。それはそれで厳しい競争がある。

一方転職など若者のすることと言われても、今やどの会社も安泰ではなく、望まなくても転職市場に放り出される。そこで中年は将来性の期待などない分、フラットに現在の実力だけで判断される。

現在の自分が何をすることが最も効果的であるかの見極めはいずれにせよ必要だ。そういう意味で「自分の能力を上げる」ことから逃げたくても逃げられない。


著書において気になったのは、全体的に他者の価値観に肯定的なのに対し、6章の結婚だけは「大人の正しい結婚観」の押し付けが強いように思われる。正論ではあるが「結婚しろという親の言うこと」以上の内容はない。

この人も本音では「結婚と子育て」こそが真の大人にふさわしい生き方であると思っているのだろう。結婚と子育てをしない人が増えてきたからこそ、わかりやすい"大人と子供の区別の象徴"に結婚と子育てがなったのなら、あまり昔と変わらないなという気がする。