加藤泉 - LIKE A ROLLING SNOWBALL

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原美術館加藤泉展を観てきた。いい展覧会だった。

加藤泉の作っているものは仏像なのだと本展で気が付いた。そう思ってしまうと、仏像であり仏画であることに何の違和感もなくなる。むしろ手を合わせたくすらなってくる。

美術は古来宗教と一体化してきた。宗教は美術の色と形そのものから生まれる神秘性を、宗教そのものの神秘性と同一視させることに利用してきた。

だから信仰心などない自分でも、宗教美術の神秘性のみを「消費」することができる。

そして宗教が理性と分離された時代の現代美術は、宗教美術から神秘性のみを分離して蒸留することに挑戦し続けている。

尊い」という言葉が、最近では宗教的意味ではなく、萌えコンテンツに対する賛辞として使用されている。自分は宗教美術も、現代美術も、萌えコンテンツも好きだけど、その感覚はすごくわかる。

「尊さ」だけが、時代をこえて人が信じるに足るものなのではないかという気がしている。