未来と芸術展: 森美術館

類似のコンセプトで以前やった「宇宙と芸術展」がつまらなかったのであまり期待していなかったが、特に後半が面白かった。ただし微グロ注意。

前半の建築系はつまらなかった。環境との共生みたいなことを言って、建物に植物を生やすようなプロジェクトの偽善性に飽き飽きしてるんですよね。そこまで建築とメンテナンスコストをかけてやるくらいなら、最初から建物作らないほうがよほど自然に優しいのではという感覚しかない。

面白いのは後半になってからの技術と倫理にフォーカスを当てたゾーン。

乙武さんの義足のビデオは見入ってしまった。移動するだけなら二本足より電動車椅子のほうがはるかに効率的で安全な気がするけど、それでも二本足で歩くということには象徴的以上の意味があるのだなあとか。まあ本人もつらそうで現実的に使うにはまだまだハードルが高そうだけど。

終末看取りロボットは独身者にとっては笑い事ではない部分があった。強化された乳児もこの形ではないにせよ、将来的には遺伝子操作により頭のいい子供が作られる可能性は否定できない。

3人以上の遺伝子をもつ子供の可能性については、専門家がその倫理性について真面目に答えているのが面白かった。答えること自体が専門家としてかなりリスクがあると思うので、よく協力したなと思う。


これは昨今また繰り返される"これはアートじゃない"論に対する回答としても面白いですね。

こういうテーマ自体はSFでは普通にあるし、SFではないけどホモ・デウスはまさにこの話なわけですよ。自分も正直不快な部分はあったし、意見がわかれるのは当然だろうと。

そのテーマを扱うメディアとして、書籍でも映画でも演劇でも音楽でもない形式。そういう他のメジャーな表現形式とは言い難いもの、そういうものをまとめて呼ぶ呼称が"アート"なんですよね。

つまりアートとは表現形式の呼称であり、"他の表現形式ではないもの"という否定の定義であるという部分に若干面倒な部分があるだけ。内容は関係ないんですよね。

もちろんアートだから誹謗中傷や犯罪行為が許されることもない。そこは他の表現形式となんら変わらない。そういう基本的なことを確認する場としても面白いと思います。