恋する小惑星

「恋する小惑星」のアニメを最終話まで観た。正直自分には合わなかった。しかしアニメ化の方向としては正しいしよくできている。ある意味「自分が日常系に何を求めているか」が強く問われる話だと思う。

「恋する小惑星」の特徴はストイックなまでの「生真面目さ」だと思う。地学という学習要素の高いコンテンツを扱っていることもあるが、それ以上に登場人物がみなとにかく生真面目である。日常系から「ギャグ要素」をほとんど抜いてしまったと言ってもいい。

一方で物語として凝った部分や驚きがあるかというと、正直そういうわけでもない。日常系アニメにおける普通のいい感じの話が続く。「熱さや感動」的なものがないわけでもないが、なんというか「生真面目」の範囲内に収まってしまうのだ。


自分はそこまで詳しいわけでもないが漫画の話をすると、四コマ漫画というのは長くギャグ漫画のためのフォーマットだった。ほのぼの、不条理、エロなどの方向はいろいろあり、全体としてはストーリー仕立てになっていたりもしたけど、ギャグマンガという基本は変わらなかった。

「日常系」と言われるジャンルについても、古くからの有名どころである「あずまんが」「らきすた」「けいおん」等の時代もあくまでギャグがベースであり、基本は「不真面目」というのが当たり前だったように思う。

ところがその後、ジャンルが成熟して表現の幅が広がっていく過程で、フォーマットは四コマのままだが、ストーリーがむしろメインな作品が出てきたように思う。有名どころだと「NEW GAME」がそうかもしれない。

「恋する小惑星」の漫画版は1巻しか読んでいないのだが、ギャグ的な部分もあったように思うが、基本はストーリーメインの漫画だろう。

アニメ化というのは元の漫画の最も核となる部分を濃縮して拡大する作業だと思っている。「恋する小惑星」のアニメ化をするにあたり、この漫画の核は「生真面目さ」であるという判断をし、ギャグの要素を抜いた。その判断は間違っていないように思う。

ただ自分はもちろん可愛い女の子も好きだけど「ギャグ」がないと見るのが辛い。その意味ではこの作品は合わなかった。


とはいえ良かった点もある。オープニングとエンディングは素晴らしかった。むしろこの選択は「生真面目」でないとできない。ギャグの場合は電波ソングになってしまうので。

あとはすずちゃん。通常の日常系アニメであればそれほど違和感のない彼女も、このアニメにおいては存在が浮いているようにすら思える。

それでも数少ないコメディリリーフとして、ちょっと大人な物語の進行役として、そして意外と一途な一面でおいしいところを持って行ったすずちゃんに、お疲れ様を言いたい。