森山大道の東京

写真家の眼というのは凄いなと再認識させられた。東京都写真美術館

自分は写真を撮ることは特に好きでもないが、珍しい物を観たりしたときは写真を撮る。撮らないほうが現代においてはおかしいだろう。

その時の考えとしては、まず自身の被写体に対する感動があり、それを如何にそのまま他人に伝えることが可能かを考えてフレーミングを行う。たぶんその時点で良い写真は撮れないのだと思う。

森山大道の写真を観て思うのは、写真そのものの力強さの一方で、これ実際に見たらしょぼい感覚にしかならないだろうなということ。渋谷のハロウィンの写真があるが、たぶん現場にいたらスルーするんじゃないかと思う。

風俗街の写真が多いが、女性のたくましさのようなものを強調せずに、フラットに視覚的な面白さにのみ着目しているところが良い。そういうドライさは現代の写真だなと思う。

良い写真を撮るために必要なのは「被写体そのものに対する感動」と「フレーミングや撮影方法による効果」を完全に自身の中で分離した眼を、自分の中で構築できるかどうかなのだろうなと。


あともう一つ思うのは、我々は視覚的には50年くらいたいして変わっていないんじゃないかということ。

特にモノクロ写真を観ていると、1970年代と2010年代の東京の写真にあまり違いがあるように思えない。携帯ショップが映っているからかろうじて現代だとわかるくらい。

これが1950年と1970年ならモノクロでも明らかに違うだろう。大きな目で見れば、1980年以降の変化はスマホくらいかもしれない。