スロウスタート

ちょっと前ですがスロウスタートのアニメ版を観終わり、非常に面白かったです。原作も今読んでますが、アニメよりもマイルドでありながらやっぱり面白い。その良さについてがんばって書いてみたいと思います。

スロスタの表面的な特徴は花名ちゃんが中学浪人してるという点です。これは一部の人間にしか公にしておらず、高校の友人には話していない。逆に言うとそれしかない。部活に入っているわけでも、見た目に特徴があるわけでもない。設定的には結構ストイックです。

最初は中学浪人を巡る結構内向的な話であり、絵柄の優しさもあって、これは心温まる系の話なんだと思うと騙されます。自分も初めて単行本読んだ時は、最初のほうだけ読んで、そういう話だと思ってその後読んでいなかった。今思うともったいないことをしました。

では表面的でない特徴はというと、キャラクター設定の極端にあざとい部分はあるでしょう。特にたまちゃんの美少女ゲーム好き、和服、料理が得意という設定。そして冠ちゃんの見た目も行動も小学生のままの高校生という部分です。

ただこのレベルのキャラクターは日常系ではそんなに珍しいというほどではなく、むしろ定番と言ってもいい。

スロスタの優れているのはそのキャラクターのやることが、他の漫画に比べて一歩深いところまで踏み込んでいるということではないかと。絶対に「日常系でよくある話」では終わらせないところに凄味がある。

わかりやすいのは栄子ちゃん×榎並先生のやり取りですね。アニメ版7話は一体俺は何を観ているんだ感がありました。セリフの妙な生々しい駆け引きというか。まあこれはスロスタ全体の中でも少し浮いている部分な気もしますが。

あとはエロネタ的なもの。スロスタは結構エロネタは多いんですが、ストレートな青年誌的なネタではない。見た目の部分もないわけではないですが、それよりも言葉のやりとりというか、いかにも女子同士で話す下ネタ的に聞こえる感覚。スカートはき忘れる話とか、家で水着の話とかもうひどいですよね。実にけしからん。

なんか極端な話ばかりになっていますが、ギャグ部分は普通に笑えるし、心温まる話もいい話が多い。コミュ障あるあるネタも自分はよくわかります。どんなネタにおいても、よくある展開から一歩踏み込みを常に忘れないところが漫画として誠意を感じます。

スロスタはゆゆ式とかと同じで、わりとコアなファンが多い印象ですが、その理由が分かった気がしました。