こみっくがーるず アニメ版 最終回の面白さ

今更ですがこみっくがーるずアニメ版を最終回まで観ました。非常に良い最終回でした。ネタバレありで書きますので御注意を。原作は最新6巻まで読んでいます。

本作が他の日常系と比べて特殊なのは、1話目の時点でアニメオリジナルの最終エピソードを提示してしまったことです。現在の寮は1年後に壊されることが1話目で示されます。これは原作にはない設定なので、原作勢からするとかなり驚きです。また寮の外観も原作とは異なります。

日常系というのは終わりのない物語です。だから最終回においては、第一話へのループと取ることのできる展開にすることが多い。これは二期を作るための伏線でもあるのですが、この可能性を潰してしまうように見える。これによって原作勢からもどうするのかという不安がでてきて、物語に緊張感が出ています。

途中も面白いのですが、ここから一気に最終回に向けた流れを見ていきます。11話後半から原作の3巻最後に向けた流れになっていきます。3巻のあとがきでアニメ化の話がでていますので、この辺りは最初からアニメの最終回を意識して描かれた話かもしれません。

かおす先生が自分達をモデルにした日常系漫画を描くという点は原作通りですが、その漫画のタイトルが「コミックガールズ」というメタな展開になります。そして最終話でかおす先生が後編を描くのに行き詰ってしまうのですが、自分が一番感動したのはかおす先生が自身の描いた前編を見直すシーンです。

かおす先生は我々視聴者の代弁者でもあります。理由は観てる人ならわかりますよね。かおす先生は女子高生をどこか他人事のように外部から見ている登場人物でありながら、完全に物語の外にいる我々でもあるという二重性があります。

ここでかおす先生が自身の描いた「コミックガールズ」に優しい世界を見るとき、かおす先生である我々もまた「こみっくがーるず」に優しい世界を見ているのです。この展開自体は原作でも同じですが、自分は原作ではこの二重性には気が付かなかった。作品内の作品タイトルを「コミックガールズ」にするという離れ業でこのことが明確になっています。

そしてかおす先生は無事作品を描き上げ寮からも退寮。ここで終わりと思いきや、寮は建て替えられて原作の「こみっくがーるず」の寮として。終わらない日常系としてのループになるのです。

こみっくがーるずは原作の時点でギャグも物語も非常にレベルが高いです。しかしながら原作にないオリジナル要素とメタ展開を上手く使うことで、アニメだけ見た人でも最終回として違和感のない盛り上がりのある展開と、ループを両立させた。これはアニメ版ならではの面白さではないかと思います。