うらら迷路帖 アニメ版

全体のバランスが非常に優れた傑作だった。これまで自分が観た日常系アニメの中で、1クールの完成度としてはトップかもしれない。なお原作は未読でアニメ全話観てから読むつもりだったのでこれから読む。

萌えアニメ」は好きだが「日常系」は退屈という人は結構いると思う。そういう人は以下の二点が気になるのではないかと勝手に思っている。"うらら迷路帖"はこの問題が少ない。


「成長物語としてのカタルシス」という点では、うららには十番占から一番占までの段階があって、試験に通らないと上に行けないというルールはかなり初期で示される。

1クールアニメのクライマックスである10話、11話は九番占になるための試験であるというのも全体の流れとしてわかりやすい。

まちカドまぞくや、こみっくがーるずのように物語面でも優れた日常系アニメは多いが、最初にある程度目標が示されるというのは意外と少ないように思う。

話の横軸として各キャラクターの過去の話が出るのも定番だが、各々の物語がまた良くできている。そして物語にアニメ版用に取って付けた感や、ギャグ回と感動回を無理に分けた感がないのも良い。

もちろん日常系なのでゆるゆるした展開ではある。それでも1クール終わって当初の目標をがんばって達成したというカタルシスは他の日常系アニメより大きいように思う。

原作途中でのアニメ化なので、アニメだけでは結論がでない謎も多い。ただそれ自体は他の原作途中のアニメでも同じなので気にするほどではないと思う。


「キャラクター以外の絵面が地味」という点では、迷路帖という世界観設定が秀逸だと思う。

和風ファンタジーというのが珍しいので建物等の世界がまず面白い。占いがテーマなので小道具も楽しく、占いの演出も凝っている。その中で主人公の千矢は動物系野生児という設定なのでさらに映像的なスパイスが入る。

もちろん衣装もすごくかわいい。和風ファンタジーなので和服ベースで、着物がそもそも好きなのはある。

小梅ちゃんの衣装が天才的で、羽織の着崩しにノースリーブとコルセットを合わせるという力技で、二の腕の絶対領域というよくわからないエロさがある。

千矢ちゃんはタンクトップなので露出が多いけど、健康的な感じでエロい感じはむしろしない。この辺の匙加減がうまいと思う。


上記のような通常の日常系とは違う部分もあったうえで、普通の日常系的な部分もぬかりない。ギャグも面白いし、キャラクターも可愛いし、ちょっとエロいし、百合百合している。とにかく全方位に隙が無い。

キャラクターで面白いのが佐久隊長と親衛隊で。「ネタとしての百合要素」というのはむしろベタネタで、今ではギャグとしては食傷気味な部分もあり、メインキャラクターの外に置いたのはうまいと思う。

ちなみに自分の推しは紺ちゃんと若干悩むがやはり小梅ちゃん。ノリがよくてボケもツッコミもできる姉属性キャラ大好きなので。そしてさっきも書いたけどエロい。ごちうさでの千夜ちゃんポジション。

二期を期待したい気持ちは凄くよくわかるけど原作完結しちゃったからなあ。出版社としては新刊という商材がない状態でのアニメ化はかなり難しいんだろうなあと。きんモザですら3期ではなく映画化だし。