きんいろモザイク単行本をBest wishes.まで読み終わりました。読み進むのが勿体なくて少しずつ読んでいたのですが、ついに読み終わってしまいました。
自分は日常系のアニメや漫画が好きで、好きな作品はいくつもありますが、どれが一番好きかと言われると迷いなくきんモザを挙げます。
「日常系」に求めるものは人それぞれで正解はない。ただそれでも自分にとっては、きんモザこそが最も理想の日常系なのです。
理想的であるとはどういうことか。それは「欲しい要素が全てあること」そして「一般的には良いかもしれないが、自身の理想には含まれなくても良い要素がないこと」の2つです。
この要素の何をどちらにするかは意見が分かれると思います。自分にとっては以下になります。
欲しい要素
- 女の子の可愛さ
- 絵の美しさ
- ギャグの面白さ
含まれなくても良い要素
- ストーリーによる感動
- 特定分野の知識の学習
- エロ
- 恋愛としての百合
これで自分にとってはなぜきんモザが理想かは理解いただけるのではないでしょうか。「恋愛としての百合」に陽綾は入る気がしますがメインではないので。「特定分野の知識の学習」でイギリスについて学べたかというと..そういう漫画ではないですよね。
これについては日常系漫画を巡る時代の流れもあると思います。きらら雑誌を読んでもいない自分が歴史を語るのはおこがましいのですが、2015年頃に転機があるように思います。
それは4コマでありながら、1巻単位のストーリーでも読ませることに成功する作品が増えてきたことです。
4コマには4コマで1つ、1話で1つのまとまりがあります。その構造を残した上で、単行本1巻分で1つのストーリーを作ることに成功した漫画が増えてきた。まちカドまぞく、うらら迷路帖、こみっくがーるず等はこの点における成功作品ではないかと。
けいおん!後の日常系ブームの中で、大きな物語の欠如は良さでもあると同時に非難もされてきた。そこに対する回答としてのストーリー化の成功自体は素晴らしいことだと思います。
またアニメ化という意味でも、ストーリーがしっかりしているほうが、基本的に話を順序通りやればいいことになるのでやりやすいという点はあると思います。
ただそれは一方で、どこから読んでも同じペースで楽しむことができるという4コマの良さを失う部分もあったように思います。
また日常系作品が増えることに伴い、個性を出すためにどうしても強い設定を入れざるを得ないという点はある。そのために有効なのは、マイナーな部活や趣味の知識による差別化です。
知らないことを知ることはだれでも楽しいですし、アニメ化などを考えた場合にコラボなども行いやすい。基本的に悪い部分はないのです。ただそれによってゆるい日常感が失われる気がするのです。
強いストーリーも知識による差別化もないという意味ではゆゆ式なんかもそうですが、たぶん時代によって許されたという点もあるのかもしれません。
念のため言っておくと、自分は強いストーリーや知識による差別化がある作品が嫌いなわけではありません。先に挙げたまちカドまぞく、うらら迷路帖、こみっくがーるずはいずれも大好きな作品です。ただなんでしょう、きんモザのピュアな感じとはまた違う面白さという感じです。
きんモザの映画版のキャッチコピーは「ゆるふわ学園コメディの金字塔」です。「ゆるふわ学園コメディ」これこそが日常系の本質ではないかと思うのです。
この実にぼんやり感しかない定義に対して「金字塔」と自信を持って言える。というか他は金髪くらいしかない。そこがきんモザの素晴らしさではないかと思います。