閃光のハサウェイ

あまりに評判がいいのと、監督が虐殺器官アニメ版の監督ということを知ったのでハサウェイ観てきた。わりと面白かった。なおネタバレは多少含むのでその点は注意。

自分はガンダムはそんなに観ていない。大人になってから観たのはZの映画版、ターンA、UC。比較的最近観たのがF91逆シャアだ。そして率直に言って面白かった作品はない。

そういう「ガンダムむしろ嫌い」な前提で「わりと面白い」はそれなりに評価しているということだ。


自分が観たガンダムは基本的に戦争の思想的対立軸に対して、第三の理想を女性に仮託して、男性の女性を巡る争いと思想対立と戦闘をリンクさせるという構造だ。

初代ガンダムはそれでいいだろう。問題はその構造があまりにも便利なので毎回同じことをやっていることだと思う。本作のギギもその意味では同じなので、正直ギギについてはあまり好きではない。

80年代ならとにかく、現代ではそういう過度な女性の理想化に対して気持ち悪さを感じてしまう。それであれば全員男や全員女で構成されたほうがまだましだ。

その一方で面白いのはハサウェイは逆シャアではガンダム伝統の巻き込まれポジションだったのに対し、本作では主体的に立場を選んでいることだと思う。


民間人からみたモビルスーツの兵器としての恐ろしさの描写については各所で書かれているように確かに良くできている。

一方でガンダムは大抵主人公がガンダムに乗る前はそのような描写で戦争の恐ろしさを描くのに対し、乗った後は一切そのような描写はされずにカッコいい戦争ごっこに終始してしまう。テロや戦争の恐ろしさをちゃんと描けるかはむしろこれからが本番だと思う。

自分はモビルスーツには全く興味がない。話をリアリティに寄せれば寄せるほど、ロボットというリアリティのない兵器の形状が浮いて見える問題もどうするかはこれからだ。


「地球環境が最も重要な問題なら、環境を守るために人間を減らすことは正当化される」という環境テロの思想は古くて新しい問題だ。そこをどう正当化できるのか、もしくはできないのか。この点に注目して次作以降も観てみたいと思う。