直接民主制 2.0

都議選一応投票してきました。自分は選挙の度に思うことがあるのですが、ちょっとそのことについて書いてみます。

結論を先に書くと「法的拘束力をもつ住民投票を、ネットを使用して行うべきではないか」ということです。

政治に関心がないわけではない、でも選挙には行かない

選挙の投票率が特に若者が低いという話になる度に、若者は政治に関心がないという話になります。本当にそうでしょうか。

Twitterがある種の世論集約ツールとして機能するようになって既にかなり経ちますが、それによって思うことの一つに「意外とみんな政治に関心があるのだな」ということはないでしょうか。

もちろんその関心のレベルは様々ですし、Twitterというメディアの特性から、そこには感情の吐露以上の政治的な議論は生まれません。以前も言いましたが、Twitterでは昔で言うところの「デモ」は起こせます。しかしそれ以上ではない。

とはいえ「関心がない」のと「関心を適切に反映する手段がない」のは異なります。実は「間接民主制」のほうが問題なのではないかと思います。

人を選ぶという時点で人気投票でしかない

間接民主制においては、政策そのものを可否を投票するのではなく、自身の支持する政策に近いであろう人を選択します。ただ現実的に候補者一覧とか見て本当に「自身の支持する政策に近いであろう人」を選ぶことできてますか?

選挙公報なんかみんな似たような都合のいいことしか書かない。だからといって候補者全員の過去の政治活動をきちんと調べて投票している人いますか? せいぜい政党で選ぶくらいじゃないですか? 特に地方議会選挙なんか真面目に選んでますか?

率直に言えば人を選ぶという時点で「人気投票」以上の意味はないと思うんですよ。「なんとなく良さそう」というイメージで選ぶしかない。それがわかっているから選挙活動では名前の連呼しかしない。それ以上の活動なんか意味がないんです。

選挙がポピュリズムになる? 当たり前です。人気投票なんですから。

お気持ちの表明ではなく、結果に法的拘束力を

一方で住民投票という政策そのものの是非を直接投票で問う制度が一応あります。でもこれって実施がものすごくめんどくさいわりに、お気持ちの表明以上の意味がないんですよね。

自分が想定するのは「法的拘束力のある住民投票」です。いや議会と全く独立した立法手段である必要はない。例えばですが、議会での採決において、半数は議員の評決で、半数は住民の直接投票分で決めるでもいい。やりかたはいくらでもあるように思います。

そんなめんどくさいことできるわけないって? そのためのIT技術じゃないんですか。何のためにマイナンバーカード作ったんですか。マイナンバーカードによる認証が本人確認になりうるという前提であれば、それによってネットで投票することに何の問題があるのでしょうか。

もちろんITリテラシー格差の問題はあるでしょう。とはいえそもそもITリテラシーの高い若者の政治参加の低さの問題なのだから、若者に有利で何か問題があるのでしょうか。今では60代以上でもパソコンやスマホを使う人は全く珍しくない。

全ての議会の議題をこの制度で扱うのは現実的ではない。例えばですが月に1回くらい、現在話題になっている政策の可否について、法的拘束力のある投票がネットでできるとしたら、それはやる意味があると思えないでしょうか。それについて勉強したり、他人に意見を聞いたりすることも意味があると思えないでしょうか。

まとめ

まとめてみましょう。

  • 若者は政治に興味がないわけではないが、選挙は意味がないので行かない
  • 政治に興味があるのであれば、政策に対して実際に責任のある立場で直接投票すればよい
  • 代議制を完全に否定するわけではなく、部分的に取り入れる形でも構わない
  • ネットを使用することで既存の住民投票に比べてはるかに低コストでリアルタイムに行うことができる
  • マイナンバーカードを政治参加のための必須アイテムにすることができる

選挙によるポピュリズムという問題が叫ばれて久しいです。自分はポピュリズムを避けるのに一番いい解決策は、納税額による制限選挙に戻すことでないかと思います。何故か誰もこの方向に言及しないのですが。

そんな非民主的な方向はあり得ないというのであれば、逆にこの直接民主制を再度見直す方向はどうでしょうか。それもあり得ないというなら、たぶん本当は民主制なんか信じていないのだと思います。