永野護だからこそ資料ではなくアートとして成立する展覧会。
自分は小学生くらいの頃はロボットアニメ大好きでした。1980年代なのでもう初代ガンダムは終わっていてあまり記憶になく、ガンダムフォロワーの全盛期の時代ですね。
その中でもエルガイム大好きだったんですよ。内容はいまひとつ理解できていなかったですが。オージェやアシュラテンプルのメカの異常さが好きでした。
あとアムが可愛かったですね。今思えば初めてアニメキャラに萌えたのはアムなのではないかと思います。今キャラデザを見ると前髪パッツンに黒髪ロングで、今と全く好みが変わっていないですね..
当時は当然永野護という名前を知っているわけでもなく、時代は流れてFSSを読んだ時に、なんかエルガイムで出たメカがそのまま出てないかということで永野護という人がかかわっていたのだと知りました。
こういうアニメ関係の展覧会はいろいろ行ったことがあるのですが、貴重な資料であるということはわかる半面、自分にとっては展覧会として面白いかというと正直微妙なことが多いのも事実です。
たとえば絵コンテがあっても、それはあくまで作品あっての文脈の理解に役立つものであり、作品を観ずにそれそのものに感動するかと言われると自分は難しい。
しかしこの展覧会は自分はかなり感動しました。
まず永野護の作り出したメカもキャラクターも、それ自体がオリジナリティとセンスの塊として力が素晴らしいです。
GTMについては最後のコーナーでフィギュアも展示してあるのですが、これも圧巻です。大きさもあって模型というより彫刻という感覚がするんですよね。現代彫刻であればイ・ブルとかに近い。
面白いのはサンライズ入社時に出したスケッチブックの内容の時点で、もう永野護らしさがあふれ出てるんですよ。全くブレがない。
またメカとキャラクターのデザインというだけではなく、それを組み合わせて構成する力も非常に優れています。
だからこそFSSの表紙デザインの原画や、他のカラーイラスト原画を絵画として評価することができる。余白を比較的多く取ってシャープな線で構成される部分に丸山応挙に近いものを感じました。
そしてその素材の良さを生かすために、あえて漫画の原画などの資料は最低限にして、デザインを見せるという点に特化した展覧会の構成も良かったと思います。
経歴も今回初めて詳しく知ったのですが、もともとパルコで4年間デザインを仕事をしていたというのはなるほどと思いました。だからこそあれだけ突飛なデザインを全体としては違和感なくまとめる力があるのだなと。
帰ってきてエルガイムもう一度観てみるかと思って1話観てみましたが、普通に面白く観られました。コメディ要素もあるし、アムは今観てもかわいい。しばらく観てみようかな。