21世紀の資本 映画版

主張は原作通り。だが原作が凄いのはそこじゃない。

今日までこんな映画あること全然知らず、ナウシカの劇場上映観ようかと思って時間調べてたら、こんな謎映画があるのかと思って観てしまった。

原作と言っていいのか微妙だが、書籍の"21世紀の資本"は読了済みである。

"21世紀の資本"の難しいのは、「格差が拡大している」主張だけ見ると「知ってた」的な感覚にしかならないこと。ピケティの凄いのは、そこに対して19世紀から現代までの国毎の一貫した膨大な統計を作成して、その主張に対して統計的な裏付けを取ったこと。

映画ではそこを省いてしまうので、この映画を見ても"21世紀の資本"のどこが凄いのかさっぱりわからんとは思う。とはいえ20世紀の経済史として観るにはそれなりに面白いと思う。まあ目新しい部分はないと思うけど。

各時代毎の経済状況を説明するのに、各種の映画の引用によって構成されているが、これは実は原作も同様で、いろんな文学作品の引用から説明している。これはなかなか面白かった。

ドキュメンタリー映像の引用もなかなか面白かった。レーガンの"Make America great again"とか、サッチャーの"女性首相は自分の生きている間には実現しないと思う"とか。

サッチャーは庶民からの女性首相ということで、1950年以降の比較的平等が実現された時代の象徴でありながら、結果として新自由主義をもたらしたの皮肉である。

平等のために必要なものとしては、グローバル大企業と大資本への課税強化となるわけだが、比較的現実的なグローバル大企業の課税すらアメリカの反対で骨抜きにされそうで、なかなか難しい部分がある。しかも国内問題として解決できないから選挙の争点にならんのだよね。

あと、モノポリーの金持ち貧乏実験の映像はなかなか衝撃的だった。まあ先進国に生まれたこと自体が「運が良かった」と言える。先進国の格差拡大は、発展途上国も含めた世界的には格差の縮小であるという側面も無視はできないんだよな。