ぽんのみち

正しい日常系アニメ。

自分は日常系アニメが好きなのだけれど、最近はすっかり数が少なくなってしまった。女子だけのアニメはあるけれども、強い物語で引っ張っていく作品が多い。ゆるキャン△はグルメ旅番組だからなあ。

そんなわけで原作もないオリジナルアニメとして登場した本作。むしろ日常系の原作が既に枯渇してしまったのでオリジナルでしか作れなかったのかもしれない。正直どこでマネタイズするつもりなのか謎だけれど、雀魂のユーザーが増えればいいのかもしれない。

本作は最初から日常系アニメを作ることが目的だったと監督インタビューにあった。確かに真面目な日常系である。真面目な日常系であるということは不真面目であるということでもある。

麻雀ものを期待すると見事に肩透かしに遭う。確かに麻雀もするけれども、それはあくまで遊びの一つにしか過ぎない。真剣に麻雀だけをやろうとする跳が少しかわいそうになるくらいに、バーベキューもするし、海にも行くし、お祭りにも行く。

コメディとしても普通に楽しい。キャラクターは全員が巨乳だが、エロ要素はない意外と健全な作品だったりする。麻雀漫画ネタがわかりにくい部分はあるが、そこはわかる人がわかればという感じでいいと思う。

舞台が尾道ということで地方物としての側面もあるけれども、地方押しが強くないのも良い。自分はこの作品がきっかけで尾道に行ったけど、特徴的な風景が多いので確かに作品を観る上での解像度は上がったように思う。

最終回も素晴らしかった。いつも使っている全自動雀卓のジャンタ君が壊れてしまうのだが、他の雀卓でもいいとか、手積みでやればいいとか、それは全部わかったうえで、やっぱりジャンタ君がいいという話になる。そのこだわりに合理性が何もないところがいい。そこに大切なものがある。

ひさしぶりに最後まで毎週楽しみで、終わってしまうのが残念なアニメだった。細々とでもいいからこういうアニメが作られて欲しい。