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Beat Takeshi Kitano 絵描き小僧展

率直に言えば美術展としてはさほど面白くない。ただ、美術界をネタにした皮肉と考えれば考えさせられる部分がある。

本展の主張は明快で「現代美術とか小難しいこと言ってるけど、要するにオブジェ使ってそれっぽい社会批判しとけばいいんでしょ?」である。一般に評価される現代美術との違いは、その圧倒的なわかりやすさである。その点を除けば言っていること自体は、それが全てでもないが、だいたいあってると言える。

現代美術のわからないと言われる理由は、ぶっちゃけて言えば、たいていの人は「きれいな絵を見よう」と美術館に行くのに、やってることは「オブジェ使った社会批判」で、しかもその内容がわけわからないから、そもそもやっていることが「オブジェ使った社会批判」であること自体がわからないからだと思う。そして美術界はその「わけのわからない社会批判」こそが美術だと思っている。

あえて言うならここまでベタな作品を美術館で展示できるのは、単に彼が「世界のキタノ」だからである。しかし、逆にその特権的立場を利用して「現代美術と呼ばれているもの」がやろうとしていることを極端にわかりやすく説明した事自体は、皮肉として結構面白いと思う。

まあ、一時話題になった中国現代美術も、いくつかの展覧会で見たものはわかりやすい社会批判が特徴だったので、村上隆の言うとおり「売れるためにはわかりやすくなければダメ」は本質なのかもしれない。評論家は実際に金を出す顧客じゃないからね。

ついでに言うと、収蔵品展のセレクトもその意味で面白くて、さっぱりわからない系の抽象の難波田龍起と、美術のイメージどおりの具象の舟越保武である。絵描き小僧展に「こんなの美術じゃない」と思った美術ファンに「えーとでは抽象と具象どっちがあなたの美術なんですか」と問いかけるわけだ。