- 作者: 佐藤優・解説,共同訳聖書実行委員会,日本聖書協会
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/10/19
- メディア: 新書
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率直な感想としては、物語として非常にドラマティックである一方、構造が複雑でわかりにくい宗教だと感じました。
1. 旧約聖書
2. モーセの律法に従う人々
3. イエスの物語
4. パウロと異邦人
1.が旧約聖書、3.が福音書、4.が使徒言行録と書簡集に当たります。2.はいずれにも出てきます。
まず旧約聖書はとにかく全ての大前提にあたるので、そこを信じていないと根本的に話になりません。異邦人ですらです。
その前提において旧約聖書によって預言されていたのはイエスであり、その証拠が復活である。だからイエスを信じなさいというのが基本的な論理です。
ところが、もともと旧約聖書を信じるというのはイコールそこに書かれたモーセの律法に従うことだった。しかし彼らはイエスを認めないどころか殺害した。
そうすると、旧約聖書は認めるが、そこに書かれたモーセの律法に従う人々は、実は旧約聖書を正しく理解していないことにしないといけない。
その論理をいかにアクロバティックに構築するかというのが特に書簡集のハイライトになるわけです。正直めちゃくちゃめんどくさいですね。
その本来は非常にめんどくさい論理を、自己犠牲と終末思想という非常にドラマティックな物語に対する共感と、弱者に対する具体的な支援で信じさせることに成功したのがキリスト教なのだと思います。
また、この佐藤優解説付きの新約のみの新書版という形態についてですが、自分は非常に良かったです。新書と言ってもKindleで読んでますけど。
自分は旧約聖書はかなり昔に途中まで読んで挫折しました。そもそも旧約はキリスト教にとっての"必須参考文献"ではあるが、本編ではない。そのことすらも自分はこれまで知らなかったです。
福音書はクリスチャンでなくても知っているイエスの話が多く、ドラマティックで読みやすい。まずは福音書から勧めるのは読みやすさという点では非常に正しいと思います。
ただ正直福音書も4つ読むと飽きてくる。あとつらいのは書簡集です。福音書どれか1つ => 使徒言行録 => パウロの手紙のどれか1つ => 黙示録 という抜粋版があるととりあえず全体が見えて、量的にも読みやすいのかも。クリスチャンの人に石投げられそうですが。