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路上から世界を変えていく

この展覧会の作家は5人いるが、「路上写真」に普通ある要素が5人ともない。その要素とは「一般の人々」である。写真のグループ展でこれが誰にもないというのはかなりめずらしいのではないか。

しかし、自分にとっては圧倒的な現実感を感じさせる物だった。写真に現実感という言い方はなんかおかしいのだが、自分にとっての世界認識のレベルに最も近い感じとでも言えばいいだろうか。

「世界を変えていく」と銘打ってあるが、その方法にはいくつか共通する特徴があるように思われる。まず変更量はものすごく小さい。作家であることの特権性を生かした変え方でなく、たぶん誰もがやろうとおもえばできるやりかたである。それらはシステムや思想による変更ではなく、即物的な変更である。

たぶん自分の20年以上上の人から見たら実に小さくまとまってつまらない方法論で、我々は既にやったと否定されるだろう。

でも1990年以降、日本ではシステムや思想によるトップダウンの社会の変更なんて物は全く信じられなくなった。それを最後にやろうとしたのがオウム真理教だったのだと思う。

そうなったときに「自分の身の回りで物理的に確実に変更できること」に立ち戻るしかない。それしか信じられないし、そこからしか考えられない。誰かが既にやったとかも信じられず、私にとっての変更しか信じられない。

そういう点が、自分にとっての現実認識と近いのだと思う。