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ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画

個人のコレクション展というのは、展覧会としては散漫な印象になることも多く、面白くない印象だったが、これはあまり有名でない作家の作品も多いのに、非常にいい展覧会だった

室町水墨画というのがそもそも雪舟と禅画以外特集されることが少なく、その世界の豊かさに感心した。これを見ると江戸時代の作品は洗練されすぎている印象すら受ける。

展覧会の冒頭で掲げられている、ドラッカー氏の言葉である「正気を取戻し、世界への視野を正すために、私は日本画を見る」という言葉が面白い。「正気を取り戻す」にびっくりしたが、英語だと"recover sanity"であった。

ドラッカー氏は言うまでもなくマネジメントの父である。彼の見てきたビジネスの最前線は、ある意味「狂気の世界」だったのだと思う。もちろん我々の多くのビジネスも同じく狂気の世界にいる。

その中で室町時代水墨画こそが、禅僧が書いた禅の中で生きるための絵画であり、それを見ることで俗世から禅の世界に入ることと同様に、自分自身も狂気の世界から正気を取り戻す。だからコレクションする。集めるものも、書斎に掛けることを考えて掛け軸のみとする。

これらの目的とコレクションが非常に首尾一貫しており、コレクターというもののある意味理想的な形ではないかと思った。