一神教の起源:旧約聖書の「神」はどこから来たのか (筑摩選書)
- 作者: 山我哲雄
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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旧約聖書は読んでみたものの、正直結局何なんだこれは感は拭えないわけです。特に気になるのは以下の点。これについて答えてくれる本でした。
1. 現代の学説では歴史書として、どこまでが確からしいと思われているのか
2. どの時代のどのような人たちによって編纂されたのか
3. ユダヤ教、キリスト教、イスラム教とはどのような関係があるのか
この本においては、一神教を"拝一神教"と"唯一神教"に分離して考えます。"拝一神教"は他の民族には他の民族の神がいることは肯定し、その上で自分の民族はヤハウェだけを信仰するという状態。"唯一神教"は神そのものが民族によらずヤハウェしかいないと考える状態。
確かにこの二つは根本的に違うのですが、その二つを意識することはあまりなかった。考えると他の宗教の否定を行う必要があり、無意識に考えないようにしていたのかもしれないです、
その上で、まず議論の前提として古代イスラエルの歴史と、聖書の記載を順番に追っていきます。そもそも遊牧民が遺跡を残しているわけでもなく、聖書外資料による裏付けも少ない中で、歴史学者や聖書学者がどう考えるかはいろいろ面白い。
その前提の上で、聖書の記載について事細かく多神教的、拝一神教的、唯一神教的な記載を検討していく。現代の訳は当然唯一神でないといけないので、それっぽく書いてあるが、実はヘブライ語では違うみたいな話もあり興味深いです。
実のところその検証を行うとほとんどが拝一神教なのですが、最後に唯一神教的になる転換が起きる。もちろん推測でしかないのですが、推理小説のような面白さがありました。
こういう解説本を面白く読めるのが、がんばって旧約聖書を読んだメリットですね。