技術的な発信は必要条件ではない

「40代以上になってもエンジニアで居続けるためには、ブログや登壇等の外部への技術的な発信が必要」的な記事をよく見ますよね。外部への技術的な発信自体はいいことだと思うので、それを否定する気はありません。しかしそれが「必要条件か」と言われると疑問に思っています。

自分自身は既にアラフィフですが、40代で転職した事業会社で今もガチガチにコードを書いています。まあ優秀でもないですが、いなくなるとチームが困るレベルの貢献はしているつもりです。

一方で「外部への技術的な発信」というのは全く行っていません。githubリポジトリも、オープンソースへの貢献もありません。ブログもこれ以外にないし、QiitaやZennにも書いていないです。技術的な情報についてつぶやくTwitterのアカウントすらありません。

自分が特殊なのかとも思いますが、皆さんの会社で40代以上でコードを書いている人は本当にいないでしょうか。実際結構いるのではと思います。それらの人は皆登壇とか大好きな人でしょうか。別にそうでもなさそうだし、だからと言って能力がないというわけでもないのではないでしょうか。

その辺以前から思っていることについて書いてみます。

必要なのは会社に対するアウトプット

あまりにも当たり前すぎるのですが「40代以上になってもエンジニアで居続ける」を「仕事としてエンジニアである」と定義するなら、必要なのは外部ではなく会社に対するアウトプットです。外部に対するアウトプットは多いが、コードを書かせると微妙という人も正直います。

「外部への技術的な発信が必要」というのは生存バイアスに近いと考えています。「40代以上になってもエンジニアで居続けるためには」のような情報は、何らかの外部への情報発信を通して知ることになります。

「外部への情報発信をしている人」が書くのですから、その人は「外部への技術的な発信に価値がある」と思っているのは当たり前です。この点にまず気が付く必要があります。

もちろん会社へのアウトプットを高めるには最新の技術に対するアンテナを貼ったり、自己学習したりはそれなりに必要だとは思います。そのモチベーションが外部への発信で保てる人はやればいいでしょう。

自分は自己学習はしていますが、別に外部への発信をしなくてもモチベーションを保てるのでやりません。それは楽しいからではありません。単にやらないと仕事がなくなるからです。

技術だけだと高年齢が不利なのは確か

技術だけで勝負するエンジニアの場合、同じ技術力であれば圧倒的に若い方が有利であることは間違いないと思います。特に転職のような直接比較される場合はそうだと思います。日本では採用において年齢による差別は合法です。

結果として少なくとも20代のエンジニアには勝てそうな、その分野の固有のドメイン知識であったり、マネジメント力との総合力で差別化をしていくことになります。つまり40代で技術力だけで仕事をしている人がそれなりに優秀なのも生存バイアスです。

特にマネジメントについてはある程度以上になると、エンジニアリングの片手間でやることは難しくなるので、必然的にマネジメント専業になっていきます。これは合う人も合わない人もいるので難しいところです。

困ったことにエンジニアはそれなりの技術力がないとマネージャーを舐めてかかるので、マネジメント力だけ高い人でもマネジメントできません。

自分は技術力がすごく高いわけではないです。アプリとサーバー両方やったことがあったり、長くいるのでドメイン知識があったり、多少は管理能力があるので、総合的にやっていけている感じです。一方で人に対する興味が全くないのでマネジメントはできないです。

外部への情報発信のメリット自体はある

外部への情報発信のメリット自体はもちろんあると思います。

一つは転職においてです。会社に対してどれだけ自分が貢献したかを面接で話したところで、しょせん口ではなんとでも言えると思われる部分は当然あります。

外部への発信があると、客観的な評価基準が増えるのは確かです。またコミュニティ活動のつながりで採用されることもあるでしょう。

そしてもう一つは採用広報です。特に会社の名前を出した情報発信の場合、その会社においては採用力の強化につながることになります。これは確実に会社に対するアウトプットです。

自分もこの後転職せざるを得なくなったときに、情報発信があったほうが有利だとは思います。でも嫌いなので今後もしないと思います。


40代を超えると優秀な人の勧める方法を取っても、そもそも勝負が既についているのであてになりません。自分ができることと、世間に求められていること。そしてなるべく若者がやりたくなさそうなことをやっていくのがいいのではと思います。