三体 三部作

三体 三部作を全部読み終わりました。SF的アイデアの数々は面白いけど、物語としては第二部以外は微妙な感じでした。以下はネタバレ有りの感想です。







SF的アイデアの数々自体は結構面白かったと思います。ここでSF的アイデアというのは、物語の展開とその理屈が同時に説明されるやつですね。

第一部の三体の太陽の謎や、第二部の面壁人のアイデアの数々、第三部の階梯計画の加速方法、太陽系を周回する加速器等。太陽系レベルで三次元に閉じたアイデアは、物理的限界の想像もしやすく、その中でどう実現するかという点は読んでいて楽しかった。


一方で物語の途中でヒントだけを出して、物語のオチにするためのアイデアという意味では、結構チート的な部分も多かったと思います。

代表的なものが第一部の次元展開で、これがあまりにもチートレベルが高すぎて、それまでの積み上げが一気に壊れた感じがしました。正直ここで冷めてしまって、第二部を読むまでにはかなり時間が経っています。

次元を一つ上に辿ると、一つ下の次元の距離には意味がなくなるという理論も強力です。我々三次元人は確かに二次元を俯瞰して見ることが可能ですが、それでも二次元における距離には制限されるわけで、そのあたりの制約事項をもう少し説明して仕掛けを作れば、チート感を減らせたのではという気もします。

暗黒森林理論も、全宇宙においては地球人と三体人以外にも無数の知的生命体がいるのなら、宇宙はもっと無数の暗黒森林攻撃で溢れているんじゃないかと思うんですよね。地球人と三体人だけの話で宇宙全体が説明されすぎる感があります。


物語としては、第一部は中途半端、第二部は第一部を綺麗にまとめた。第三部はそれまでの設定を生かした全く別の話という感はあります。

物語のカタルシスとしては第二部が一番あった。破壁人が面壁人の考えを見破るという構造も面白かったですし。第三部も綺麗にはまとまっているのですが、結局いろんなことが謎のまま終わった感が強いですね。

しかしタイトルの「三体」は結局第一部の太陽が3つある惑星の意味以外は何もなかったですね。