フレームアームズ・ガール

日常系という枠で調べても引っ掛からない日常系アニメの傑作。

自分は模型に全く興味がないのでそもそもフレームアームズ・ガールが何であるかも全く知らなかった。なぜこの作品を観ようかと思ったかというと、監督がみなみけとおちフルの川口敬一郎だったからである。バトル物ならいいやと思っていたのだが、説明文の以下が気になった。

少女とフレームアームズ・ガールの奇妙で楽しい、きゃっきゃうふふな日常がスタートする!

結論としては"きゃっきゃうふふな日常"メインでありながら、バトルもある。そして人形ものというあまりないジャンルのアニメであった。

フレームアームズ・ガール、今後はFAガールと略すがこれは何かというと、元々は玩具メーカーコトブキヤフレームアームズというオリジナルプラモシリーズだったらしい。これ自体は硬派なメカシリーズで、美少女メカではなかったらしい。そこからスピンオフととしてその美少女版ができて、それが意外と当たったのでシリーズ化されたという話らしい。

このシリーズの販促のためにアニメ化企画なのだが、普通に考えればSFバトル物にしそうである。しかし普通の美少女メカバトルものでは目立たないということなのか、変わった方向になった。古い例でいえばプラモ狂四郎や、今だとガンダムビルドダイバーズとかがそうなのかもしれないが、あくまで彼女らは玩具のままでAIにより意志を持って戦うという設定になった。

それであればFAガール1人ずつにマスターを付けてバトルをする方向になりそうだが、その方向にもならなかった。これには売りたいのがFAガールであってそれ自体が数が多い。さらにマスターもとなるとキャラが多すぎてわけがわからなくなるという事情もありそうだ。

結局マスターはあお一人となり、そこにFAガール全員が揃い、勝手気ままにバトルするという方向になったのである。むしろバトルよりも女子高生あおと小さな生きる人形との日常が描かれることになった。

あおは特に模型に興味がない普通の女子高生である。それではさすがにということで、武希子という模型に詳しい女の子も出てきてあおの指南役となる。しかしあおは最後まで模型の楽しさに目覚めることはない。FAガールを友達として大切に思うだけである。

本作はバトルもあるし、その描写もしっかりしている。しかし一番面白いのはあおとFAガールとの日常である。ロボット掃除機の上に乗って移動したり、学校に行こうとしたり、ドールハウスの飾りつけをしたり、FAガールが女子高生になる夢オチの展開があったり。日常系アニメとしてもかなりやりたい放題で楽しい。

おもちゃの人形が意志を持つという展開のアニメは他にもあるが、考えてみると日常系アニメでこの展開は今までなかった。その意味で非常に斬新だった。自分はとんがり帽子のメモルを思い出した。これまた古いな。

惜しむらくは日常系としてこのアニメを認識している人は少なそうなこと。dアニメストアのジャンルも"SF/ファンタジー"と"アクション/バトル"になっている。むしろこれにつけるジャンルは"コメディ/ギャグ"と"日常/ほのぼの"だ。