横尾龍彦 瞑想の彼方

象徴派が好きならおススメ。埼玉県立近代美術館

自分はモロー、ルドン等象徴派が好きなんですよ。横尾龍彦という作家は知らなかったのですが、時代的には1970年頃でかなり異なるとはいえ、象徴派をもう少し内省的にしたような絵画で自分は好きです。

シュルレアリスムとはちょっと違う気がするんですよね。美大日本画科を出た後に神学科にはいったというくらいのクリスチャンということもあり、無意識を分析的なものとして扱うシュルレアリスムとは異なり、宗教的な香りがする。グロデスクに見える部分もありながら、あくまで静謐な感じがします。


絵画として最も興味深いのは青の時代の絵画でしょうか。幻想系絵画の淡くて暗い色合いとは変わって、空とも海とも言える鮮やかな青の中に既に息絶えてしまったような何かが蠢いている。この生とも死ともとれる感覚は独特なものがあります。


晩年になるとより抽象化されてきます。正直ここまで来てしまうと、似たような抽象画家と比べて何が違うのかと言われると難しい。しかしこの作家の作品の流れを見ていると、より抽象化する方向は必然だったのではという気がします。