ITエンジニアの勉強会プレセンの1ジャンルとして「生存戦略」系ってありますよね。「この先生きのこるには」ってやつです。
ああいうのはだいたい30歳直前くらいでこれから頑張りたいという決意を書くか、40代以上の業界の有名人的なポジションの人が、自身の経験を書くものが多いように思います。それを揶揄する気持ちはなく、頑張ってくださいと思います。
ただ生存戦略がある程度汎用化できるのは30代までで、40代以上には誰にも生存戦略なんてないと思うのです。
自分は40代後半のエンジニアですが、マネージャーでもスペシャリストでもありません。同世代の友人を見ても、エンジニアとしていろいろ修羅場を潜り抜けてはきたものの、いわゆるマネージャーとかスペシャリストとまで言える人はいない。
それでもこの年になっても意図せずして転職を余儀なくされる人も結構いる。そういう友人に対しても「大変だ」という同情くらいしかできないわけです。自分自身もいつ同じ立場になるかわからないから。
40代というのは既に勝ち負けの結果が決まってしまっています。20代であればほとんどの人が「20代に求められる社会人」になれる。しかし「40代に求められる社会人」は多分40代社会人全体の5%くらいで、その人達だけが社会において可視化されている「40代社会人」なのだと思います。
だから上記で言うような「勝つための」生存戦略は40代にはもはや存在しない。どうしたら死なないかすら、個人の積み上げてきたものが違いすぎて、誰の話も参考にならない。自分の生きる道は自分にすらよくわからないという状況なわけです。
日経新聞等に書かれている40代以上の再学習によるIT人材へのキャリア転換に対して、自分はほとんど期待できないと考えています。もちろん極少数の成功例はあるかもしれないし、20代なら十分ありうると思いますが。
しかし以前コロナで営業が厳しい飲食店店主が、アプリの作り方を学び始めたみたいな話が美談として書いてあって、つらい気持ちにしかならなかった。
彼らは20代の若者だけではなく、40代の多くの「負け組エンジニア」とも戦わなくてはならないわけです。まあもちろん業界としては奴隷が多いほうがいいのでしょうが。
あまりにもオチのない暗い話なので、一つだけ40代負け組の生き方で意識したほうがいいと思うことを書いておきます。
それは若者がやりたがらない、成長は期待できないが、誰かはやらなくてはならないポジションのほうが、そこで生きていける確率は高いのではないかと思います。
ただそういうポジションは業界的な価値も低いので、会社から追い出された場合に何のキャリアにもならない問題はあります。
40代の皆さんがんばりましょう。全く助けることはできないけど。