降りられる組織

「働かないおじさん」という言い方があります。働かないおばさんだっている気がしますがそれはさておき、起きているのは成果と給与の不一致です。これ自体は珍しいものではないように思います。

ただ冷静に考えてみれば、成果と給与が一致していないなら、成果にあわせた給与に変更すればいいだけの話です。別にやめさせる必要はないのですが、なぜかいかにやめさせるかという話にすぐになってしまいます。

企業は基本年次で給与を上げていきます。これはベアや定昇のある古い企業だけでなく、最近の企業でもそんなに変わりません。もちろん役職の上昇については会社で差があります。

40歳くらいになると成果と給与の不一致が目立ってくるので、勝者と敗者を選別して、敗者を理由をつけてまとめてやめさせるという方法をとります。40歳定年というのはこの本音を明らかにしただけです。

自分は以下のようになることが実は労使ともに望ましいのではないかと思っています。

1. 年次で給与が上がるのは30歳までとする
2. 労使で合意の上で、給与を下げて働く道を作る

経験的にでしかないのですが、誰でもどんな仕事でも年齢に合わせて確実にアウトプットを上げられるのは30歳くらいまでなのではと思っています。

それは真面目に仕事をしていないからではなく、簡単に伸びるレベルには限界があるということです。だとすると、成果と関係なく年次で給与が伸びるのは30歳くらいまででいいのではと思います。

かつては年次の給与上昇は物価上昇に合わせるという意味合いもあったように思いますが、遠い昔の話ですよね。

それ以上成長できる人は、成果に合わせて給与も貰えばいいと思います。一方で育児や介護などのライフイベント、もしくは病気や老化による能力の低下により、成果が下がる人もいると思います。

そのような場合であっても、懲罰的、強制的な形ではなく、成果に見合った適切な給与に下げることを、ポジティブに選べる必要があるのではないかと思います。

若者は売り手市場だから関係ないというわけにはいきません。なぜなら今の若者のほうが昔より初任給が高い分、成果と給与の不一致が先輩世代よりも早く訪れるからです。

企業側もこれまでは成長か退職かという二択を突き付けても代わりの人材はいくらでもいました。今後はそのようなわけにはいきません。成果に見合った給与で長く働く人材のほうが貴重になってきます。

また定年の延長に対しても、60歳で一気に下げる方法をとる必要がなくなります。60歳から61歳になったら急激に成果が落ちるというのは考えにくいです。

日本は人口も減り、今は降りていく段階です。その中では組織も「降りられる」ことのほうが重要になっていくのではと思います。