絵画の可能性を久しぶりに感じた。SOMPO美術館。
本展はFACEという公募展の過去三年間のグランプリ、優秀賞受賞作家12名の近作のグループ展である。だから同じ賞の受賞者であると傾向はあるものの、全体として何かテーマ性があるわけではない。しかしだからこそ、作品をフラットな目で見ることができたように思う。その中で4名気になった作家を挙げる。
奥田文子
この作家の面白いのは小さな人が描かれている点。人がいなければ、こういう露出の高いカラー写真的な絵を描く人はいるよねで終わってしまうと思う。ところがそこにスケールの異なる人が描かれることで、その世界が一気に現実の写真から虚構の絵画に変わる。
小俣花名
他はそこまで引っ掛からなかったけどこの作品のインパクトが凄い。マージャンをするおっさん達。別段特にアウトロー感があるわけでもないただのおっさんである。左上のおっさんのところにある邪魔そうなコードもいい。全自動卓なのだろうか。
今あえてこれを描くモチベーションは何なのか気になった。普通に単なるおっさん好きなのかもしれないが。
高見基秀
"対岸で燃える家"というそのまんまの題名の作品である。似たような対岸で家が燃えていたり、車が燃えていたりそんな作品が多い。他の作品を見るにハイパーリアルな絵画を描けるうえであえてこの微妙に現実感のない作品になっているようだ。
大変なことが起こっているはずなのになにか現実感がない他人事のよう。そういう感覚を的確に作品化しているように見える。