アレック・ソス Gathered Leaves

この20年間での変化はスマホだけなのかもしれない。

本展は2002年からのこの20年間のアメリカの写真で構成される。そこには驚くほど時代の変化というものが描かれていない。これは1970年代の写真であると言われても納得するのではないか。

もちろんその被写体の選択はかなり意図的なものだと思う。被写体になっている人物もスマホはみんな使うだろうし、Googleで検索し、NETFLIXを観るだろう。

でも屋外においては、スマホさえ写さなければ案外こんなものかもという気がする。別にアメリカだからではなく、日本だって似たようなものだ。

冷静になって考えてみると、ここ20年くらいで街の風景はスマホ以外の変化はあったのだろうか。もちろん建物が建ったりなくなったりはするし、デザインの流行的なものも変わっただろう。

しかし人は変わらず車に乗り、ショッピングモールに行き、居酒屋で酒を飲む。もちろん昨今は若干ネットに比重を移した部分はあるが、ほとんど変わっていない。

建物も20年前の建物と今の建物の区別がつくだろうか? 例えば六本木ヒルズは19年前の建物である。最近の渋谷スクランブルスクエアとどちらが新しいかわかるだろうか。

写真はネットを映すことはない。その写真を通して世界を観ると、世界は思ったより変わってない。