君たちはどう生きるか

ネタバレを含むので注意。













美少女アニメしか観ない自分が言うのもどうかと思うけど、若くて子供を産むのがいい女という価値感が透けて見えると言われても仕方ないかな。

タイトルから書籍のコペル君のイメージが強すぎて観る気もあまりなかったけど、暑いし動かなくていいので映画を観た。別物とは前情報で聞いていたのでそうだよなとは思ったが、意外なところで書籍も出たのでちょっと驚いた。物語にはあまり関係ない気がするけど。

現実から異世界ものになるのはいつものパターンだけど、今回は現実パートが結構長い。そのおかげもあって、物語としては一時期の宮崎アニメよりはしっかりしている。その一方で今の世間の価値観とのズレもわかりやすくなっている。

現実パートは興味深い。自傷という行為は結構センシティブで、今までの宮崎アニメにはないものを感じた。亡くなった姉の後に妹と再婚するというのもどうなのと思ったが、そこは戦前だとそこまで違和感ないのだろうか。

面白いのは異世界に少年だけでなくて婆さんも一緒についていくところだと思う。本作は婆さんのままなら面白かったのだが、結局よくあるサパサパ系の若い女性になってしまい拍子抜け。思い出したのはハウルの動く城で、あの話も結局婆さんは実は若い女性でした、良かった良かったみたいな話にそれでいいのかと思った。

そこまではまだいいとして、母親が美少女化して出てくるのはどうなんですかね。しかも「子供が産めるけど死ぬ」ほうの人生を選択するわけでしょう。「子供は産まないけど長生きする」人生だとダメなんですかね。

自傷にしても新しい母親を受け入れられないことによるストレスはあるにしても、直接的な原因は学校に馴染めなかったことだと思っていた。「友達を作る」とか最後に言ってる割には、その後全くそこに触れずに終わったのはいいんだろうか。

自分は美少女アニメが大好きで決してフェミニストではない。とはいえまあ世間がどういう認識かというのは理解しているつもりではある。そういう視点においては非難する人も多いだろうなあという気はする。

しかしそれらの異世界は最終的には否定されるわけだ。それこそが時代との差に対する自覚なのかもしれない。