アリス・ギア・アイギス Expansion

戦闘メカ美少女ゲーム原作の皮を被った日常系ドタバタギャグアニメ。

自分はもともとゲーム自体は知ってはいたが特に興味もなく、アニメも観るつもりがなかった。たまたま自分の友人がこの原作ゲームにはまっており、話のネタに1話だけでも観るか的な感じで観た。ゲームをやっていないので当然キャラも誰も知らない。

戦闘メカ美少女ものというのは知っていたので、最初は当然戦闘シーンから。ああこういうシリアスものなら1話切りかな...と思っていたら、あっさり免許はく奪されてしまい、のどかちゃんという戦闘ができない設定のキャラが入って..あれこれおかしくない?

このアニメ、原作ゲームは戦闘メカ美少女ものなのに、アニメではメカも戦闘もほぼなくなってしまい、ひたすらにどこか昭和感ただようドタバタギャグがずっと繰り広げられるのである。

本作を象徴するのがのどかちゃんの鼻血であろう。ゲームにはない本作オリジナルキャラののどかちゃんであるが、主人公キャラである夜露さんに憧れを抱いている。そのため夜露さんに近づきすぎると興奮して鼻血がでてしまう。百合展開はいいとして今どき鼻血ネタとかあるの"ゆるゆり"くらいだよ?

本作の凄いのが昨今のきららアニメよりもよっぼどギャグに徹底していることだと思う。きららであればギャグは基本にある一方で、心温まる物語や成長物語も並行して進めるのが定番となっている。本作にはそういう要素は一切ない。ひたすらにギャグで押し通すという昨今稀に見るストイックぶりである。

正直ギャグがものすごく面白いかというと、ベタなネタでごり押ししている部分もそれなりにある。綺麗なオチであったり、掛け合いの面白さといったシナリオのギャグの面白さは原作漫画が売れている作品と比べて劣る部分もなくはない。とはいえアニメならではの映像の面白さは漫画原作アニメとはまた違った魅力もある。

徹底したギャグアニメではあるが、最後の2話だけはシリアス展開である。ここでやっと戦闘メカ美少女らしい展開になる。とはいえこれもよくあるベタ展開で、個人的にはシリアスでベタだとつまらんなあと思っていた。

ところが最後でこの話は一変する。このシリアス展開でやりたいことは戦闘メカ美少女のバトルではなかった。あくまでのどかちゃんのガチ百合にけじめをつけることが目的だったのだとわかる。そして最後はもちろん鼻血ネタである。この展開は凄いと思った。

ゲーム原作のアニメ化として本編がシリアスでも、ギャグにするというのは珍しくはない。しかし通常はシリアスなアニメ化が成功した後にショートアニメにする。本作のようにいきなり30分アニメでギャグ一本推しというのは異色である。

アニメは面白かった。しかしこれでゲームをやる人が増えるのだろうかと思ったが、結局これだけ面白いアニメなのだかからとゲームのほうもやった。自分は残念ながらしばらくやって飽きてしまったが、ハマる人もいるだろう。

既に長く続いているゲームなので、戦闘メカ美少女が好きな人はもう既に知っているはず。そうだとすると今まで興味を持たなかった人に間口を広げるという意味では、これはこれできちんと考えられた結果なのかもしれない。