BLUE REFRECTION RAYのキャラクターデザイン

BLUE REFRECTION RAYの4話まで観た。正直問題も結構あるように思うのだが、やろうとしていることは結構面白いし、キャラクターも好きだし、愛すべき作品という感じ。強く勧められるほど傑作ではないが、みんなでツッコミ入れながら観たい感が非常に強い。

そんなBLUE REFRECTION RAYを推す理由を書いてみたいのだが、まずは特徴のあるキャラクターデザインについて書いてみる。

BLUE REFRECTION RAYのPVを観ればわかると思うのだが、キャラクターデザインに違和感があるのではないだろうか。正直何か質感が安っぽい感じがするのである。
https://www.youtube.com/watch?v=97TRoHo8Mzkwww.youtube.com

その理由を考えていると意外と面白いことがわかる。キャラクター紹介のページを見ると一目瞭然なのだが、特に影の付け方がベタではなく、通常のアニメに比べてかなり薄いグラデーションになっている。
TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』

面白いのは、これ自体は通常のアニメーションに比べてむしろ「手がかかっている」ということだ。イラストに近い表現と言える。それなのに印象としては何故か「安っぽく」見えてしまうのは何故だろうか。

理由として、我々はコンピュータによるグラデーション表現というものに慣れてしまい、単純なグラデーションに対してむしろ「稚拙な表現」という認識を受けるようになってきていることがあるのかもしれない。

自由なグラデーションというのはコンピューターによって多くの人に身近になった。かつては個人の作ったポスターやパワポ等にもグラデーションを入れるのがはやったこともあったが、今ではむしろ90年代風の懐かしデザインとされることになる。あえて使う場合には、かなり繊細な使い方が求められる。

これがいつもと同じベタ塗りであれば、我々の脳はそこに対して何の評価も加えない。しかし「普段と異なる」ことによって、そこに対して評価を加える。その結果、アニメーションとしてはむしろ凝った表現なのに、イラストとして判断することで何故か「安っぽい」ように感じてしまうのだ。

この表現をあえて採用した理由だが、もともとの岸田メル先生の透明感のあるキャラクターデザインを、アニメーションという量産が可能な表現に落とし込むためのアイデアなのではないかと思う。

最初は確かに違和感があった部分もあるが、自分は観ているうちに慣れてきたし、これはこれでいいと思うようになってきた。

しかしやはりこの表現を生かすにはある種の繊細さ、グラデーションだけではなく、線や構図を含めた総合的な繊細さが求められるように思う。そしてその繊細さが最も生かされているのが、この作品のEDなのではないかと思う。
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前半の油絵的な絵も素晴らしいが、そこから後半に移るときに陽桜莉ちゃんの顔のアップから始まるのだが、その顔のアップからの引きの繊細な色彩はグラデーションだからこそできる表現なのだ。この映像を観たときに、このセンスには賭けられると思った。