正しいテロ

安倍元首相銃撃事件というのは「正しいテロ」だからこそ厄介なのではないだろうか。

安倍元首相銃撃事件は許されるべきではない。確かにそれはその通りなのだが、報道を見ているとこの事件を京アニ放火事件や秋葉原殺傷事件と同じ見方をして「孤立の解消」のような当たり障りのない解決策を挙げているのが目についた。

しかし自分はこの事件は上記のようなソフトターゲットを狙った無差別殺傷事件とは全く異なると考えている。

彼が統一教会に対して強い憎しみを抱くことは、母親と教会の関係を聞く分には当然と言えるのではないだろうか。統一教会が社会的に問題多い団体であること自体も疑いの余地がない。

彼は母親に手をかけるわけでも、一般信者を狙ったわけでもなかった。そんなことをしても教会には何の影響も与えることができないことを明確に理解していた。最も効果のあると思う対象に対してのみ行動を行っている。この点で無差別殺人とは明確に異なっている。

対象が安倍元首相という点は筋違いに思える一方で、自民党の少なくない議員が教会と関係があったことも事実らしい。この事件がなければこのことについて追及されることはなかっただろう。結果として教会の政治力を減らすのに有効だったのも事実である。

目的、手段、効果という3つにおいて、手段については間違っているが、目的は正しく、効果も実際に上がっている。これは「理解不能な犯罪」では全くなく、明確に意図を持った「正しいテロ」である。

だからこそ、何が問題なのかをもう少し丁寧に考えるべきなのではないだろうか。